特集
経営企画部
2020年6月8日(vol.926)
JAアクセラレーター(第2期) 採択企業紹介②
AgVenture Lab(アグベンチャーラボ)でJAアクセラレータープログラム(第2期)の最終審査コンテストが5月18日に開催され、8社が優秀賞として採択されました。今号では4社を紹介します。
myProduct株式会社
【プラン名】CRAFTRIP – 地域の手仕事に特化した、産業観光プラットフォーム
同社は、代表の小山翔氏が、地方のユニークなものづくりや豊かな自然・農業など、産業観光に活用可能な、地域の眠れる資源に着目し、「CRAFTRIP」という地域の手仕事に特化した産業観光プラットフォームの構築・運営および産業観光コンテンツを制作する会社です。
コンテストでは、「旅ナカ」による地方の活性化のため、農家や職人たちの「地域を活性化したい」、また観光客の「地域のもっと奥深いところを知りたい」という双方のニーズに応えていくとの思いから、同社の強みである、①産業観光に関連したデジタルプラットフォームを構築・運営していること、②産業観光プランの造成に当たり、同社の地域コーディネーターが常駐することで、地域コミュニティーにより深く入り込んでいけることなどをプレゼンしました。
今後約4カ月間にわたるアクセラレータープログラムでは、JAグループのネットワークを活用することで、産業観光に関心を持つ農家との接点を作り、農林水産業の面白さや奥深さを伝えるユニークな体験プランの造成を目標としています。
株式会社トルビズオン
【プラン名】ドローン航行のための上空シェアリングsora:share(ソラシェア)
福岡を拠点とする同社は、ドローンが当たり前に利用される社会の実現に当たり、河川や離島といった飛行可能な場所が限定されているという現在の課題に対して、「空をシェアし、空の道を作る」ことでそれを解決し、世界中の空を利用可能にすることを目指しています。
コンテストでは、民法におけるドローン飛行の制限など、現在抱えている課題・背景を説明したうえで、ドローン社会・物流の実現により、ドライバー不足、買い物弱者対策、省エネ実現といった社会課題の解決につながることを提示しました。
既に全国で、自治体や全国森林組合連合会と連携して実証実験を進めており、山口県下関市の一部地区では実際に「空の道」が実現しています。今後のアクセラレータープログラムでは、JA組合員が保有する農地などの土地やA-COOP・JA-SSなどの店舗を活用した空の道を作り、ドローン物流を実現することを目標としています。
株式会社グリーンエース
【プラン名】粉末化技術で野菜の「つくると食べるを結ぶ」
同社は、東京農工大学内のビジネスプランコンテスト・研究を経て独立し、保有する、色・香り・栄養成分を保持したまま野菜を粉末化する技術により、生産された価値を余すことなく消費者のもとへ伝えることで、フードロスの削減を目指す会社です。
コンテストでは、日本で発生する食品廃棄物量の多さに触れ、持続可能な農業・社会を実現するために、廃棄される食品を有効活用することが重要とし、野菜の粉末化技術を紹介しました。現在、野菜パン「Salad Bread」の開発に取り組んでおり、本アクセラレータープログラムにおいては、食品残さの価値向上のため、未利用農産物を用いた食品開発を行うことにより、食品産業における廃棄費用の削減および収益化に取り組みたいとプレゼンしました。
今後約4カ月間にわたるアクセラレータープログラムでは、未利用農産物の粉末化テスト、栄養成分分析、商品案デザイン、商品開発およびマーケティング検証の実施を目標としています。
株式会社Agrihub
【プラン名】農業基幹システムから栽培支援AIへ
同社は、元ITベンチャー企業のエンジニアで現在就農4年目の伊藤彰一氏が、個人農家のための作業管理アプリがないことに着目し、就農後すぐに農家目線で立ち上げた「Agrihub」アプリの開発を行う会社です。農薬検索、農薬散布管理、農業日誌、売り上げ管理などのシンプルな機能・使いやすさが好評で、ユーザー数は口コミだけで現在3000人超と伸び続けています。
コンテストでは、日本全国の農家の3割に当たる約30万人に対して、あらゆるデータを集約・整理する農業基幹システムとして「Agrihub」アプリを普及したうえで、AI(人工知能)を適用できる環境にすることで、個人農家の所得向上につなげる栽培支援AIシステムを構築したいとプレゼンしました。
今後のアクセラレータープログラムでは、JAと連携し、①青年農業者の3割に当たる約3万人のユーザーを獲得し、②JAやその他農業関連組織とのデータ連携を進めることで、農業基幹システムの早期確立を目指します。