伝統野菜の「大館とんぶり」 GI登録追い風に生産振興
JAあきた北管内では、主力の米のほか、エダマメやアスパラガス、ヤマノイモ(つくね芋)なども盛んに栽培され、大館市比内町は、日本三大美味鶏のひとつ「比内地鶏」の産地としても知られています。また、伝統野菜「大館とんぶり」は畑のキャビアともいわれ、県内外に多くのファンを持つ逸品です。
秘伝の技術伝授へ 農家の了承で道開く
とんぶりは、アカザ科ホウキギ(ホウキグサ)の成熟果実が原料で、加熱加工したものの名称で、大館市一帯は古くから食用としていました。
とんぶりは加工が難しいことなどから他地域では普及せず、国内でとんぶりを継続して生産・出荷している産地は大館市だけといわれ、「大館とんぶり」=「秋田の特産品」として広く知られています。
種子や栽培方法、加工技術は、江戸時代から親から子、子から孫へ伝承という風習があり、新規参入は極めて難しい状況でした。また、マイナーな産品ゆえに需要が不安定なため、中国産原料使用の販売者と低価格で競合せざるをえず、農家の手取りも減少。最盛期の平成2年に栽培戸数139戸、栽培面積95㌶に拡大しましたが、その後は減少の一途をたどり、現在では10戸の農家が20㌶で栽培しています。
今後、安定的な生産・販売を続けるためには、新たな生産者を確保していく必要があり、「大館とんぶり」を後世に伝え残していくためにも、JAは生産者と何度も協議を重ね、その秘伝の技術を新たな生産者に伝授することを了承していただき、JAとしても安定した所得が確保できるよう、精いっぱいの支援と努力することを約束しました。
県内初のGI登録 全国区のブランドへ
平成29年5月に、「大館とんぶり」は第32号の地理的表示保護制度(GI)の登録産品となり、秋田県では初の認証となりました。
JAではこの登録を機に、全国区のブランドとして育て上げ、「大館とんぶり」の生産振興と、地域の複合経営の太い柱の一つとなることを期待しています。
そのためにも、消費者へのさらなるGI制度の周知が望まれるところであり、JAとしても「大館とんぶり」のブランド力強化に地域・生産者とともに取り組んでいきたいと考えています。
概要 | 平成29年3月31日現在 |
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正組合員数 | 4741人 |
准組合員数 | 3630人 |
職員数 | 202人 |
販売品取扱高 | 38億7千万円 |
購買品取扱高 | 20億7千万円 |
貯金残高 | 375億9千万円 |
長期共済保有高 | 1640億4千万円 |
主な農産物 | 米、ヤマノイモ、アスパラガス、エダマメ、とんぶり |