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畜産生産部

畜産事業の研究最前線 6

 畜産事業の研究所を紹介する当シリーズ第6回は、家畜衛生研究所 研究開発室です。「家畜を病気にさせない予防衛生」を普及させる事で、農家所得の向上と食の安全を図っているのが、千葉県佐倉市にある家畜衛生研究所。研究開発を担う研究開発室と家畜クリニック事業を担うクリニックセンターからなります。研究開発室は、クリニックセンターと密に連携しながら、家畜疾病の検査と新たな診断法の確立、予防に役立つ疾病対策資材の開発などに取り組んでいます。


家畜衛生研究所 研究開発室 家畜疾病の診断法確立と対策資材の開発を推進

農家の生産性を阻害する病原微生物を多角的に解析
研究開発室の研究員

 研究開発室が担う役割は、家畜の生産性を低下させる病気を研究し、その診断技術や予防技術を開発する事です。生産現場で問題が発生すると、各地のくみあい飼料担当者を介して全国5カ所にあるクリニック分室の衛生担当者(獣医師)が相談を受けます。そこで対策法の確立や研究が必要と考えられた問題に、研究開発室が取り組みます。

 こうして、それまでなかった検査法が確立されるとクリニック検査のメニューに加えられ、具体的な予防策が明らかになれば全国のクリニック分室の衛生担当者に速やかに共有されます。研究開発室ではそのような研究成果を生かし、ワクチン、生菌剤、混合飼料などの対策資材を商品化しています。全国の養豚場に普及している豚マイコプラズマ肺炎ワクチン「マイコバスター」シリーズや飼料添加物「バチルスJA-ZK株」は、研究開発室によって開発された対策資材の一例です。

より高度な研究を行うため最新鋭の機器や施設を整備

 研究開発室に所属する13人の職員の研究業務は、病原微生物の分離や性状解析を行う「微生物学的アプローチ」、また病気に感染した動物の体内組織の変化を視覚的に解明する「病理組織学的アプローチ」、そして病原微生物や動物の遺伝子解析によって病態を解明する「分子生物学的アプローチ」に大別され、さまざまなテーマの研究が日々進められています。

 先端的な研究の実践や作業の効率化に向け、遺伝子レベルの検査ができる「次世代シーケンサー」や、細胞解析用の「フローサイトメーター」など、最新の設備も積極的に導入しています。また、動物舎の大規模な改修でより多くの家畜を飼えるようになり、さらに多様な試験や研究ができる環境も整いました。

 研究の高度化・複雑化に伴い、飼料畜産中央研究所やET研究所など、JA全農の他の研究機関と連携する機会も増えつつあります。

 研究員は、アンテナを高くして幅広い情報に接すると共に、自分たちの研究が最終的に生産者の利益向上に寄与するのだという事を、常に念頭に置いて取り組んでいます。

研究成果を生かしさまざまな疾病対策資材を商品化
細胞浮遊液を高速で流すフローサイトメーターで、免疫細胞の形状や性質を解析

 
次回は、家畜衛生研究所 クリニックセンターを紹介する予定です。(8月頃掲載予定)
 
畜産事業の研究最前線5はこちらです。 

畜産事業の研究最前線 5

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