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畜産生産部

畜産事業の研究最前線 5

 畜産事業の研究所を紹介するシリーズ第5回は、飼料畜産中央研究所 上士幌種豚育種研究室です。生産者の方々に高い能力を持つ種豚を提供するためには、その基礎となる原々種豚の育種改良が重要になります。全農においてその役割を担っているのが、北海道中央部の上士幌町にある上士幌種豚育種研究室です。ここで開発された原々種豚が、全農畜産サービス㈱東日本原種豚場などに輸送され、原々種豚をもとに原種豚を生産。更に原種豚はF1生産農場に運ばれて種豚が作られ、その種豚が各生産者の下に届くという流れになっています。


飼料畜産中央研究所 上士幌種豚育種研究室 優れた肉質や高い繁殖性を持つ原々種豚の開発に取り組む

海外から優れた個体購入し何世代にもわたって改良
上士幌種豚育種研究室の研究員

 研究室ではこれまで、雄については国内の消費者が好む、やわらかくて食べやすい肉質の原々種豚の開発に力を注いできましたが、牛と同じようにサシが入った豚を作り出す事で、これを実現しました。

 一方雌で取り組んできたのは、繁殖性の向上です。10年前と比べれば、1産当たりで2~3頭は多くの子豚を産めるようになりました。

 研究室では育種改良のために、雄を中心に海外から優秀な個体を導入しています。本農場のSPF※状態を守るために、導入した豚は本農場から離れた場所にある分場で飼養し、そこで母豚に種付けを行います。そして受精が確認されたら、受精卵を取り出して本農場に運び、別の母豚に受精卵移植を施します。こうして産まれた豚を更に何世代にもわたって改良を重ねながら、次世代の原々種豚の開発に取り組んでいます。

遺伝子情報の活用で大きく広がる育種改良の可能性

 研究室では、研究室や全農畜産サービスの原種豚場などでこれまで飼養してきた、約11万頭もの豚の形質情報と遺伝子情報をデータベース化。この情報をもとに、望ましい形質を備えている豚を遺伝子レベルで選抜し、育種改良に用いています。これだけ膨大な遺伝子情報を使って改良を行っているのは、国内では同研究室しかありません。

 研究室のようなSPF施設で、従来の血統をもとにした育種改良では、例えば病気に強い豚を作ることはできませんでしたが、遺伝子情報を活用することで、そうした豚の作出も可能になってきます。

 上士幌種豚育種研究室の取り組みは、種豚の能力を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。

受精卵を代理母豚に移植するための手術
受精卵移植によって産まれてきた子豚と代理母豚

 

※「SPF」とは、Specific Patho gen Freeの略で、特定の病原体を持たないことを意味します。

 
次回は、家畜衛生研究所 研究開発室を紹介する予定です。(6月頃掲載予定)
 
畜産事業の研究最前線4はこちらです。 

畜産事業の研究最前線 4

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