農泊推進へ3月に全国連合設立
安定した産業へバカンス法制定目指す
安心院町グリーンツーリズム研究会(大分県) 宮田静一会長インタビュー
都市住民らが農家に泊まり農村に長期滞在する「農泊」を広げようと、新たな全国組織「未来ある村 日本農泊連合」が3月に立ち上がります。連合の発起人代表で農泊の先駆者でもある大分県の安心院町(あじむまち)グリーンツーリズム研究会の宮田静一会長に、農泊の魅力や連合設立の狙いなどを聞きました。
1996年に、安心院町グリーンツーリズム研究会を大分県宇佐市安心院町で有志の農家8戸で立ち上げ、農泊の取り組みを進めてきました。研究会に登録する農家は60戸に広がり、昨年の受け入れ人数は9000人近くで、前年を約2割上回りました。
農泊が発展したのは、泊まった農村で、家族のように夕食を囲んで会話をするなど、「心の交流」があったからだと考えています。「人」こそが、最も重要な農泊の資源です。
これまでは修学旅行生の受け入れが主体でしたが、近年増えているのが、韓国からの観光客など訪日外国人(インバウンド)です。日本全体の訪日外国人も年々伸び続けており、年間約3000万人に上ります。
「農泊」は農村で心と心を交流させながらの滞在
一方、訪日外国人が都市部のマンションの空いている部屋などに宿泊することも「民泊」とくくられているようですが、大きな問題ではないでしょうか。訪日外国人を農村に呼び込むためにも、農村で心と心を交流させながら滞在することを「農泊」と明確に打ち出すことが、今、特に重要です。そう考え、農泊を推進する新たな全国組織として、日本農泊連合を3月に立ち上げることにしました。
連合の活動の柱の一つが、長期休暇制度の法制化、つまり、「バカンス法」の制定を訴えていくことです。日本の社会人はなかなか休暇を取りにくいのが実情です。一方で欧州を中心とする各国は、年間に最低2週間の連続休暇の付与を義務化することなどを盛り込んだバカンス法を定めています。農泊が農村地域の安定した産業になるためには、日本にもバカンス法の制定が必要です。
「連合」の活動支える個人の応援団も大歓迎
連合は農泊の実践組織やこれから挑戦したいと考えている組織をはじめ、農業体験や農産物の加工販売に取り組んでいる団体を会員とする他、連合の活動を支えたいという個人も応援団として加わることができます。
3月16日、17日には、全農などの協力のもと、結成記念シンポジウムを開きます。多くの方々の連合への加入、シンポジウムへの参加をお待ちしております。