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畜産生産部

畜産事業の研究最前線 4

 畜産事業の研究所を紹介する当シリーズ第4回は、飼料畜産中央研究所 笠間乳肉牛研究室です。茨城県笠間市にある笠間乳肉牛研究室では、乳牛や肉牛を飼養する生産者が直面しているさまざまな課題について研究を行っています。そして研究を通じて、質の良い牛乳や牛肉の効率的かつ安定的な生産を実現できる技術の開発を目指しています。


飼料畜産中央研究所 笠間乳肉牛研究室 効率的で安定的な生産を実現できる技術の開発に取り組む

牛に異変が起きた時にすぐ通知が届くシステムを研究
笠間乳肉牛研究室の研究員

 今、酪農界で特に課題となっているのが、生産者の長時間労働です。大規模化により飼養頭数が増える一方で、人手不足が深刻になっています。

 研究室ではこの問題を、ICT技術を使って解決できないかと考えています。研究室の牛舎にモニタリング用のカメラを設置して、牛の行動を記録。そして牛が発情や病気、けがの際にどんな特徴的な行動をとるかを解析しています。

 この解析システムが完成すれば、生産者の牛舎にカメラを設置してもらい、牛が特徴的な行動をとった時には、すぐにスマートフォンに通知が届くといったサービスの提供が可能になります。生産者の方が牛舎から離れている時に牛に何か急変があったとしてもすぐに駆けつけられ、発情のタイミングを見逃すといったリスクも大きく減らす事ができます。

枝肉重量600〜800㌔の大型和牛の生産研究を進める

  一方肉牛については、枝肉重量が600〜800㌔に達するような大型の和牛の生産研究に取り組んでいます。北海道にある全農ET研究所に、遺伝的に増体能力の高い牛を両親とする受精卵を作ってもらうように依頼。その受精卵から産まれた牛を研究室の牛舎で育てています。

 ただしいくら遺伝的に増体能力が高くても、与える餌の量や栄養バランス、飼養環境が適切でないと、その能力を100%発現させる事は不可能です。そこで研究所では今、最適な餌の与え方や飼養環境についての研究を行っています。

 また、よりやわらかい肉質の和牛の育成についても研究しています。これは消費者の嗜好が、サシよりもやわらかさを重視するようになっているからです。研究所では餌の配合成分等を工夫する事で、その実現を目指しています。

  これらの研究が結実すれば、生産者は1頭の牛からより多くの肉を出荷する事が可能になり、しかもやわらかい肉を求めている消費者のニーズとも合致しているため、市場価値が高いものになります。

 笠間乳肉牛研究室は、「生産者の課題解決に直結するテーマに取り組む」というその使命にぶれない研究を、日夜続けています。

すべての牛舎にカメラが備えられており、
事務所のモニターで牛の様子を観察できる
繁殖牛舎の和牛。この牛を用いて飼養技術等の研究を行っている

 
次回は、飼料畜産中央研究所 上士幌種豚育種研究室を紹介する予定です。(4月頃掲載予定)
 
畜産事業の研究最前線3はこちらです。 

畜産事業の研究最前線 3

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