畜産事業の研究最前線 2
畜産事業の研究所を紹介する当シリーズ第2回は、飼料畜産中央研究所 品質管理研究室です。
全国のくみあい配合飼料工場はそれぞれの品質管理システムにより、生産者に安心して使っていただける製品をお届けしていますが、配合飼料の安定した品質を確保するための分析技術を必要とします。品質管理研究室はそのサポートを担っています。
飼料畜産中央研究所 品質管理研究室 飼料の品質を分析から支える
配合飼料にはトウモロコシや大麦、大豆粕などさまざまな原料が使われています。ただし同じトウモロコシであっても、産地や収穫された時期が異なれば、そこに含まれる成分も微妙 に異なります。
そこで大切になるのが、原料が海外などから輸送されてきた際に、一定量のサンプルを採り、分析で成分を確認する事です。この分析で大切な役割を果たしているのが、飼料畜産中央研究所 品質管理研究室です。
原料中の成分を分析し配合飼料の設計に利用
サンプルの原料が送られてくると、研究室ではさまざまな装置を使って、原料の中にアミノ酸や脂肪酸、ビタミン、あるいはもっと微量な成分がどれだけ含まれているかを分析していきます。分析結果は、全農が原料を購買する際や飼料設計のためのバックアップデータとして使用されます。
原料の成分分析だけでなく、同研究所の他研究室が試験に使用する飼料について設計通り の成分が含まれた飼料になって いるかどうかの分析も行い、他研究室をサポートする役割も担っています。
最新の分析機器を活用し より信頼できる分析値を算出
くみあい配合飼料工場では、生産者の皆さまに毎日安心して使える飼料を提供する事に力を注いでおり、そのために、品質管理に日夜取り組んでいます。そしてそれをサポートするために、品質管理研究室が成分に関する基礎情報や分析技術情報などバックデータとなる部分の提供を行っています。
研究室には、さまざまな分析機器が導入されています。最新の機器を有効に活用すれば、分析にかかる時間の効率化も可能です。分析結果にはどうしてもばらつきが生じるものですが、効率化された分、分析回数を増やす事が可能になり、ばらつきのある数値の中からより信頼性のある数値を算出する事もできるようになります。
ただし分析機器は非常に敏感で、室温が変わると異なる分析値が出てくるものもあります。適切な環境を設定し、正しい手順で分析を行う事が大切になります。どのような条件で分析を行うか検証するのも大切な役割です。
安定した品質の配合飼料の生産と供給を実現するための、縁の下の力持ちとして、品質管理研究室では常に分析技術の向上に努めています。
次回は、飼料畜産中央研究所 養豚研究室を紹介する予定です。(12月頃掲載予定)
畜産事業の研究最前線1はこちらです。