環境に対応した持続可能な農業を目指して
混合堆肥複合肥料と水稲高温障害対策を重点に
茨城県本部では高騰している肥料価格を抑え、安定した農産物の生産を目指すために、堆肥を活用した「混合堆肥複合肥料」の取り扱いを拡大しています。また、酷暑の影響を受け、問題になっている水稲の高温障害について、JAや県と連携した取り組みを進めています。
県内産豚ぷん堆肥使い 混合堆肥複合肥料を開発
堆肥と化学肥料を混合して作られた混合堆肥複合肥料は、養分が作物にゆっくり吸収されることや、土壌改良の効果があるなどの堆肥のメリットはそのままに、散布のしにくさや、成分の不安定さなどのデメリットを払拭した肥料です。
肥料メーカーである朝日アグリア(株)と共同で新製品の開発を進め、昨年県内産豚ぷん堆肥を使用した「サステナミライZI」を発売しました。従来の化学肥料に比べて価格を2~3割低減しながら、土壌改良効果も期待できる商品として、生産者からも高い評価を得ています。現在は、次年度発売を目指して果樹用「サステナフルーツZⅡ」の試験に取り組んでいます。
作土深確保し高温障害対策 JAや県と連携し実証圃も
近年の異常高温は、多くの農産物に影響を与えています。令和5年産「コシヒカリ」の農産物検査等級1等割合は、乳白米などの影響により45%台まで落ち込みました。そのため、乳白米の原因となる高温障害の対策は、年々重要度が高くなっています。
茨城県では、これまでも高温障害対策にも有効とされる15cm以上の作土深確保を推奨する「高品質米生産運動」を行ってきましたが、十分な作土深に満たない水田が多くあるのが実態でした。そこで、JA北つくばや県の普及指導機関と連携し、実証圃(ほ)の運営を開始しました。
実証圃ではディスクロータリーによる深耕などを施し、現地検討会で生育経過やサーモグラフィカメラを使った稲体温度の変化を確認しています。
取り組みの内容は、農機展示会の「ミニ講習会」のテーマに取り上げるなど、生産者に情報提供を行っています。今後は、収量や品質の分析、検討を行い、高温障害対策に向けた技術確立を目指します。
茨城県本部は、今後も生産者が安定して農産物を生産できるよう、環境に対応した持続可能な農業を目指して取り組んでいきます。