特集
経営企画部
2024年11月18日(vol.1092)
「グループ会社代表者セミナー」を開催
活力ある全農グループを作ろう
全農は10月16日、「グループ会社代表者セミナー」を開催し、会社代表者や本会役職員ら約240人が参加しました。今年は全国から約130人が実出席し、オンライン会議システムも併用しました。
セミナーの開会あいさつで、全農の折原敬一経営管理委員会会長は次期中期計画の策定にあたり、六つの全体戦略や、今年改正された食料・農業・農村基本法にある持続可能な農業に向けた施策を反映することなどを説明しました。さらにグループ会社の社長に向けて「現場を原点とし、新たな発想をもって関係者ととことん話し合い、活力のある全農グループを一緒に作りましょう」と語りかけました。
理事長講話では、桑田義文理事長が「食料・農業・農村基本法」の改正や本会の2030年を見据えた事業計画策定の方向性をもとに、全農グループ一体となった総合力発揮の重要性を訴えました。経営企画部の市瀬一貴部長は「次期中期計画策定における資本政策」と題し、全農グループをとりまく事業環境を背景に、グループ経営のさらなる強化の重要性を説明しました。
後半は、グループ会社の情勢報告として、JA全農たまご(株)の河上雄二代表取締役社長から、同社の「たまごだけじゃない」新たな事業領域開発の取り組みや、会社独自のESG経営、社員エンゲージメント向上に向けた取り組みについて講演をいただきました。
また、TOPPANホールディングス(株)の麿秀晴代表取締役社長CEOからは、グループシナジー最大化に向けたポートフォリオ変革の取り組みと、将来を見据えた新規事業への投資や事業拡大について講演をいただきました。
最後に、全農グループ全体で総合力を発揮し、グループ内外でのさらなる事業連携強化と変革を起こしていくことを確認し、閉会しました。
外部講師による講演
「TOPPANグループのポートフォリオ変革に向けた取り組み ~グループシナジーの最大化に向けて~」
当社は急速に変化する市場環境に対応するため、事業の多角化と持続可能な経営戦略の推進に取り組んでいます。
2023年10月には縦割り組織の課題感から、グループシナジーの最大化とグループガバナンス強化の実現に向けて、持ち株会社制の経営体制へ移行するとともに、印刷技術を企業の基盤としつつ、印刷のカテゴリーに限定されないビジネスを広げる意味で、社名変更を実施しました。
また、縮小傾向の印刷業界でデジタル化による付加価値の提供を目指すとともに、温暖化や経済格差などの社会課題を、ワールドワイドで解決するリーディングカンパニーを目指して、『デジタル(DX)&サスティナブル(SX)・トランスフォーメーション』を中期経営計画のスローガンとして盛り込みました。
さらに収益力を高めるために、積極的に拡大すべき事業への注力と、見直しが必要な事業の構造改革による事業ポートフォリオの変革に取り組んでいます。具体的にはDX事業や環境負荷を低減する商品包装の開発、生活系とセキュア系を中心としたグローバル展開、メタバース事業などの新事業への取り組みが挙げられます。
このほか、持続的成長を見据えた投資と財務戦略の実行による企業価値向上を目指し、積極拡大事業への投資の強化や、次の役員候補生の育成などに取り組んでいます。
全農グループもまた、農業従事者の高齢化や耕作面積の減少といった課題に直面しており、持続可能な農業経営が重要なテーマとなっています。TOPPANが提供するサステナブルなソリューションやデジタル技術の活用は、全農グループの課題解決に貢献する可能性を秘めています。
両組織が直面する課題には多くの共通点があり、互いの知見と技術を生かすことで、より持続可能な社会の実現に向けた前進が期待できると考えています。
「社員と組織を活性化!『たまごだけじゃない』企業を目指す」
JA全農たまごは殻付き卵事業を中核としており、国産鶏卵シェアは約16%を占め、業界トップ企業として、鶏卵相場発表や健全なマーケットを構成し、卵の需給調整機能を発揮しています。
しかし、将来的には人口減少により鶏卵消費量が減少する見込みであり、農林水産政策研究所によると、当社の主力領域である生鮮食品の支出総額は、2030年には2015年比で85%にまで減少。一方、加工食品の支出総額は107%に増加する予想です。
このような情勢を踏まえ、当社は「JA全農たまごVision2030」を策定し、「たまごだけじゃない企業へ。健康で豊かな食生活を育むたまごから始まる価値ある食の総合提案を行い、社会に貢献します」というスローガンを掲げています。これは「卵からの脱却」ではなく、「卵の事業領域を広げる」ことを目指すもので、他社との共同商品開発や、社内での新規事業開発コンテストなどを通じて、社員の意識変革と行動変容を促しています。
また、中期経営計画2024基本方針の柱の一つとして、JA全農たまご版ESG経営を挙げています。環境面(E)では気候変動対策、資源循環・耕畜連携、アニマルウェルフェアを重点課題とし、KPIを設定して定量的な実績把握に取り組んでいます。社会面(S)では業界団体と連携した卵の価値に関する知識普及活動や働き方改革、職場環境改善などに取り組み、企業統治(G)では、系統鶏卵事業支援によるグループ価値の向上や、リスクマネジメントの浸透による健全で効率的な経営の実践を目指します。
このほか当社は、社員のエンゲージメント向上に向けて、人事制度や教育研修の見直しのほか、独自の取り組みとして、三ツ星タマリエ検定(卵のソムリエ)の取得を推進しています。これらの取り組みにより、社員一人一人が自社を好きになり、自分たちが鶏卵業界を盛り上げていこうという動きになれば、当社の経営理念である「生産者・国内鶏卵産業の発展と、日本の食と農の発展に貢献する」を実践していけるのではないかと思います。