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広報・調査部

農業に興味のある若い世代に もっと情報発信、交流の場を

「農業界と大学生の出逢いの場を創る」 (株)NOPPO代表取締役 福本由紀子さんに聞く

 (株)NOPPOは、「農業界と大学生の出逢(であ)いの場を創(つく)る」会社として2006年3月に設立し、農業に興味のある大学生をターゲットに情報発信や活動の場を創出しています。代表取締役の福本由紀子さんに話を聞きました。


(株)NOPPO代表取締役 福本由紀子さん

(株)NOPPOのHPはこちら
https://www.e-noppo.net
オンライン「アグリゼミ」「農業界地図」や体験・研修
事業について教えてください。

 会社が掲げるテーマである「農業界と大学生の出逢いの場を創る」のとおり、「農業×大学生」の交流の場を創出する活動をしています。具体的には、地域を超えて農業者・農業関係者の方々と大学生の交流を生み出すオンライン開催の「アグリゼミ」、就活生にはなじみのある「業界地図」の農業版「農業界地図Agri-map」(アグリマップ)の製作、新潟県長岡市や秋田県大潟村の稲作農家の方々にご協力いただいて開催する稲作体験・研修の企画、大学生目線で農業を伝えるフリーペーパー「VOICE」の製作(休刊中)などを行っています。

 直近は(株)マイファームが農林水産省の令和6年度農業教育高度化事業により開催する学生・指導者・現役農業者向けに農業のリアルを知り、学んでもらう「ミライの農業をつくる研修プログラム」にも運営側で参画しています。

オンライン開催の「アグリゼミ」
農業者に取材する学生

ミライの農業をつくる研修プログラムでの現地視察
大学の部活で農業を知り 農業者の声聞く場つくる

NOPPOの事業を行うきっかけを教えてください。

 私は実家が農家ではないので、大学に進学するまで農業に関わる機会はほとんどありませんでした。環境問題に関心を持つようになり、東京農業大学へ進学したことをきっかけに農業を身近に感じるようになりました。在学中に農業関連の部活に所属し、農業を学びながら実際に現場の方々と関わる中で、「世間では農業の課題が話題になることが多いが、現場では高い志や思いを持って農業に取り組む農業者の方々が多くいらっしゃる。正しい情報を世間にも大学生にも知ってほしい」という思いを持つようになり、現在にいたります。

NOPPOで活動する大学生はどのように農業に関わっていくのか教えてください。

 当社の活動の一つである新潟県や秋田県で行う農業体験・研修では、大学生に参加を呼びかけ、各地から参加した学生たちが実際に農作業を体験しながら普段聞くことのできない農業者の方々の声を直接聞くことができる場や交流の場を提供しています。

 現地での参加が難しい学生は、定期的に開催している少人数制の農業オンライン勉強会「アグリゼミ」に参加することで毎回異なるテーマの農業トピックを学びながら、実際にそのテーマに関連する農業者・農業関係者の方々とオンラインで交流することができます。

 より深く農業界と関わりを持つことを希望する学生には、当社が取り組む「農業界地図Agri-map」や「アグリゼミ」の運営に携わり、実際に自分たちで関心のあるテーマを決め、テーマに関する方にアポイントを取ったり、取材や記事作成、プレゼン資料の作成などを通じて、主体的に農業と関わることのできる機会を提供しています。

農業界地図Agri-map
農業体験は農業者から直接話を聞ける貴重な機会

若い世代増えて活発に「農業界に就職」後押し

今後の展望を教えてください。

 農業を盛り上げていくのは、実際に農業に携わる農業者の方々や農業界で働く方々ですが、そこに大学生をはじめとした若い世代が関わっていくことによって、取り組みがより活発になっていくと感じています。

 実際に農業界に就職する学生たちの姿を見ていると、元々農業に興味がある学生にも、今まで農業との関わりがなかった学生にも情報が届き、関わりを持てる方法が確実に増えていると感じます。今後、農業の正しい情報がより多くの人に認知され、農業界と大学生がつながることが当たり前になり、「農業界に就職する」ということが、よりメジャーになることを目指して、学生たちの後押しを続けていきます。


NOPPOで活動する学生の声
就職先の選択肢に農業 「アグリゼミ」で情報交換
名城大学経済学部産業社会学科
堀川 双(ほりかわ そう) さん
NOPPOの活動に参加するきっかけを教えてください。
 就職先の選択肢として農業を考え始めた時に「もっと農業の勉強を日常的にしたい」「同世代と農業をテーマに交流したい」という思いから、X (旧Twitter)で「大学生 農業 交流」と検索。そこでNOPPOの活動を見つけました。
「アグリゼミ」に参加した感想を教えてください。
 「アグリゼミ」では同世代との交流ができるだけでなく、他の学生がどのような思いで農業と関わっているのか知ることができ、同時に自分が農業にどのような思いを持っているのかを見つめ直す機会になりました。また、農業系の学校に通っているわけではない私にとって、実際にいま農業に関わっている方からのお話を聞けたり、情報交換ができたりすることはとても貴重な経験でした。
 今後の農業界の担い手確保のためにはNOPPOのような活動が必須なのではないかと思っています。
堀川さんは卒業後、北海道の酪農法人で就職されるとのことですが、就職活動の中で感じたことを教えてください。
 農業関係の企業説明会などの就活イベントの情報は、探せば見つかりますが、「農業の生産現場で働きたい」と思った時に情報収集に苦労しました。実際に農業の生産現場で働いている方の「自分はこのように就活を進め、現在農業とこのように関わっています」といった声がもっと聞けるようになるといいなと思いました。
 社会人一歩目を、農業で始められることを今はとても楽しみにしています。

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