全農グループ 会社探訪 JA全農青果センター株式会社
国産青果物の安定供給と消費拡大へ 業界最大規模の冷蔵施設を整備
JA全農青果センター(株)は、日本全国の産地から出荷された青果物を生協・量販店・外食企業などの実需者へ直接販売することを主な事業としています。「おいしい!その笑顔のために」のキャッチコピーのもと、全国の消費者に安全安心な国産青果物を届け、国産青果物の安定供給と消費拡大に貢献しています。
青果物直販事業を先駆け 小分け包装能力も高める
2006年に全農の出資により設立されたJA全農青果センターは、1968年に開場した全販連東京生鮮食品集配センター(埼玉県戸田市)を前身とし、半世紀にわたり青果物流通を担ってきました。72年には大阪生鮮食品集配センター(大阪府摂津市)を、73年には全農大和生鮮食品集配センター(神奈川県大和市)を開場。その後、各施設の移転を経て、現在の東京センター、神奈川センター、大阪センターの3つを拠点とし、事業を行っています。 卸売市場でのせりによる取引が青果物流通の主流だった時代に100%相対取引による実需者への直接販売を開始。その後も変遷するニーズに対応する形で、業界に先駆けてコールドチェーンの確立、小分け包装機能の拡充を進めてきました。現在は、業界最大規模の冷蔵施設と、年間約2億点の小分け包装能力を保有しています。
大阪センターを大規模改修 鮮度保持・荷受け能力強化
近年では、2021年10月に大阪センターの大規模改修に着工。通常営業を維持しながらの改修にはさまざまな制約がありましたが、約2年半の工期を経て今年4月に竣工(しゅんこう)しました。常温倉庫を拡張および冷蔵化し、L字棟と呼ばれる小分け包装場を有する2階建て冷蔵施設を新設しました。これにより、鮮度保持能力の向上、荷受け能力の強化、物流センター機能の効率化、小分け包装能力の拡大を実現しました。
環境の変化に対応した戦略 物流対策、付加価値向上も
青果物流通を取り巻く環境は厳しさを増しています。産地では農家戸数の減少に加え、物流の2024年問題や激しい気候変動への対応などさまざまな課題に直面し、生産コストはますます増嵩(ぞうすう)しています。消費地では物価高騰による節約志向が高まりをみせ、小売店の販売競争が激しさを増し、生産コストの上昇分を小売価格に転嫁しきれない苦しい状況が続いています。 そうした環境の中でも、事業の成長と持続的な生産・流通・販売の仕組み構築を目指し、全農やグループ会社と連携し、次のようなことに取り組んでいます。
①物流対策の強化
「運べない」リスクへの対応は、荷主側だけの問題ではなく、中間流通を担う同社においても対策が急務です。今年3月にはロジスティクス部を新設し、場内の荷下ろし業務の効率化や荷役時間の短縮など課題解決に取り組んでいます。
②産地との取り組み推進
鮮度向上や物流効率化を目的とした量販店物流センターへの産地直送、業務需要の拡大に対応した提携産地の開拓、産地での労力軽減に資する出荷規格などの見直し、消費者ニーズの多様化に対応した新たな商品開発などを推進しています。
③青果物の付加価値向上
「農家の無骨メシ」と「SMART」という同社独自の販促コンテンツを展開しています。「農家の無骨メシ」は青果物が生産される過程に着目し、隠れた付加価値を掘り起こして見える化するツールで、「SMART」は消費者の課題を賢くおしゃれに解決するレシピ提案ツールです。産地・消費地双方の期待に応えるべく、新たな付加価値提案を今後も推進します。
専門部署を設置し商品開発 青果物流通さらに活性化へ
代表取締役社長 小野 俊明氏
当社は創立19年目を迎えました。この間、農業を取り巻く環境は大きく変化し、最近は産地の悲鳴が全国各所で聞こえてくるようになりました。 当社では、コロナ禍を転機に価値訴求にこだわってきましたが、今年3月に専門部署を設置し、「農家の無骨メシ」や「SMART」という販促ツールの制作や、簡便商品の「みんなのやさい」のような消費者ニーズに応えた商品開発を従来よりも強化することで、青果物流通を活性化させ、少しでも産地に貢献したいと考えています。 これからも産地・販売先・従業員に喜んでいただける会社を目指します。
会社の概要 (2024年4月1日現在)
本社所在地●埼玉県戸田市美女木北2丁目11番地の12
事業内容●青果物の仕入れ・販売および その加工品などの製造・販売、 それに付帯する事業
設立年月日●2006年6月1日
代表者●代表取締役社長 小野 俊明
従業員数●561人
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