全農グループ会社探訪

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広報・調査部

全農グループ会社探訪 ZМクロッププロテクション(株)

全農の農薬を世界の農業・非農耕地に 原体製造量を増やし製造コスト低減へ

 ZМクロッププロテクション(株)(略称ZMCP)は全農と三菱商事(株)の合弁会社で、農薬事業における両者の機能の一部を移管する形で設立されました。2018年4月に事業を開始した比較的新しい会社です。


農薬の海外向け開発・販売 現地パートナー会社と協力

 ZMCPの主な業務は、①全農が権利を保有する農薬原体の国内非農耕地(ゴルフ場、衛生害虫防除など)および海外向けの開発②全農原体の製造・登録業務③自社剤の国内・海外向け開発と販売④国内メーカー品農薬の輸出事業です。

 海外向けの開発では、全農が権利を持つ除草剤「オキサジクロメホン(MY-100)」と「テフリルトリオン(AVH-301)」、殺虫剤「ジクロロメゾチアズ」について、東南アジア、インド、北米・中南米などに向けて開発を進めています。同じ作物でも国・地域によって栽培方法や農薬の登録要件が異なるため、これらの情報を収集し、各国の現地パートナー会社と協力して展開しています。

 MY-100剤はすでに中国、韓国、タイで販売していますが、本年2024年インドネシアとトルコでも新たに登録を取得し、販売に向けて準備を進めているところです。既存の剤が効かなくなった抵抗性の雑草に効果があることから今後の普及が期待されます。

 このように、海外で登録、販売が進み需要が増加すれば、原体製造量が増え、製造コストの低減につながる可能性があり、結果として日本の生産者にも寄与できるため、安定的に低コストで製造ができるよう全農と連携して取り組んでいます。

海外で使用されている「サプロール剤」のチラシ
国際シロアリ学会(フィリピン)での発表の様子
パートナー会社であるT.J.C.ケミカル社(タイ)の工場にて

 

 

 
「キルパー」「サプロール乳剤」 原体メーカーとして登録

  国内でも販売している「キルパー®」「サプロール®乳剤」はZMCPが原体メーカーとして登録している剤です。「キルパー®」は2023年に当時の登録メーカーから登録移管をうけ、現在はZMCPが調達、登録維持などを行っています。

 古い剤ですが、ZMCPではキルパー剤ならではの使用方法として「古株枯死」という使用方法の普及に力を入れています。「古株枯死」は、作付け終了後にキルパー剤を潅水(かんすい)処理することで作物を枯死させ、作物に寄生した病害虫を防除、圃場(ほじょう)をリセットする手法です。土壌中のネダニやネコブセンチュウの蔓延(まんえん)防止、コナジラミなどの防除、前作の作物を枯死させることで撤去作業が軽減できるという利点があります。

 「サプロール®乳剤」(原体名トリホリン)は、主にバラの黒星病やうどんこ病、菊の白さび病など花き栽培の殺菌剤として、国内だけでなく中南米や東南アジアでも使用されています。日本では、23年に「花き類・観葉植物」に適用拡大。今後は、果菜類でも使用できるよう作物、使用方法などの適用拡大に取り組んでいます。また5月からは、単剤として「セーフガード®乳剤」の商品名でも販売を開始します。

キルパー剤処理によるキュウリの古株枯死の様子。左がキルパー剤処理前、右がキルパー剤処理7日後

 

全農グループが販売するシロアリ剤「ネクサスZ800」
全農グループが販売するシロアリ剤「デンパSC」
伸びるシロアリ防除剤 安全性高く、環境にやさしい

 3月に「フィールドマスト®」が国内農業用の殺虫剤として登録されましたが、同剤はすでにシロアリ防除剤(愛称「メタミサルト®剤」)として22年からZMCPで開発、販売をしています。既存のシロアリ剤と比較して伝播(でんぱ)効果※が高く長期の防除効果が期待できるだけでなく、人畜への安全性が高く、環境への負荷も少ないという特長を持つ剤です。同剤を全農のくらし支援部と協業して推進しており、各地の防除業者で使用が拡大しています。

 今後も、世界の農業場面や、非農耕地・衛生害虫の防除においてZMCPの薬剤が役に立てるように尽力するとともに、日本の農業にも貢献できるように社員一同取り組んでいきます。

※メタミサルト剤に接触したシロアリが蟻道(ぎどう)を徘徊(はいかい)したり、他のシロアリと接触したりすることで、次々とシロアリの巣またはコロニー全体へ有効成分が伝播され、効果を発揮すること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小回りの良さと経験を生かし 日本農業や農家組合員に貢献

住田 明子 代表取締役社長

 当社についてご存じない方も多いと思いますが、この紙面を通じて知っていただけたらうれしく思います。ZMCPの事業である農薬原体の製造コスト削減やシロアリ剤の開発により、少しでも日本農業や農家組合員様の生活に貢献できれば、と考えています。シロアリ剤は発売2年目ですでに推定10%を超える業界シェアとなりました。さらに、業界トップシェアを目指して取引先様や全農くらし支援部と協力して推進しているところです。全農グループが自信をもってお薦めするシロアリ剤「ネクサス®Z800」「デンパSC®」をぜひご指名ください。

 創立7年目、従業員約30人の新しい小さな会社ですが、小回りの良さと農薬の開発、製造のエキスパートである社員の豊富な経験を生かして、いろいろな分野にチャレンジします。これからの成長を期待してください。

 

 

 

 

 

 


会社の概要 (2024年5月1日現在)

本社所在地東京都千代田区内神田1丁目2番10号 羽衣ビル8階

事業内容全農保有原体の海外向けおよび国内非農耕地向け展開

全農保有原体の製造支援・登録業務自社剤の開発・販売本邦メーカー品農薬の輸出業務

設立年月日2017年11月1日(2018年4月1日事業開始)

代表者代表取締役社長 住田 明子

従業員数31人

公式ホームぺージはこちら

https://www.zmcp.co.jp/

シロアリについて

https://youtu.be/30Di7wJwqbI?si=u-BMeSkxipHSaQq7

メタミサルトについて

https://youtu.be/L8zCdqt_cbw?si=M0U8QfwRm4WvZ24X

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