開設50周年、期待される茶市場を目指す
宇治茶の生産振興・消費拡大、世界発信へ
京都府本部は府内で唯一の茶市場を開設・運営しており、2024年4月1日で50周年を迎えました。22年には「宇治茶流通センター」を稼働し、宇治茶の流通一大拠点として、荒茶販売から冷蔵保管、物流を一手に引き受けることでトータルコスト低減につなげています。
京都では鎌倉時代から、特に宇治市などの南部地域を中心に「宇治茶」が栽培されてきました。お茶は健康飲料として古くから親しまれており、ビタミンや食物繊維はもちろんのこと、主成分であるカテキンはさまざまな効能・効果があります。
さらに近年の世界的な日本茶ブームに加え、昨年5月に新型コロナウイルスの5類移行に伴う人の流れの回復により、インバウンド需要・輸出拡大が追い風となっています。
全ての荒茶の生産履歴開示 茶市場の入札会場を拡大
京都府本部の茶市場は、01年に「荒茶入札販売システム」を稼働し、開票作業のスピードアップを実現しました。また、消費者の食に対する安全・安心を求める声や産地偽装問題により03年からは「宇治茶生産記録簿開示(トレーサビリティー)」を導入し、京都府で生産される全ての荒茶販売において生産履歴の開示に取り組みました。
「宇治茶流通センター」の茶専用冷蔵庫は広さ2000㎡、高さ23・5mで、専用コンテナによる自動格納式を採用し、もみ茶換算で2000tが収納可能です。出荷作業を行う荒茶荷さばき場は1300㎡で、1日50tが出荷可能です。茶市場もセンター内に移転し、従来の1・8倍の600㎡、荒茶750点を同時展示できる入札会場を備えています。
生産者向け管理システムで 出荷や書類作成などを支援
京都府の宇治茶は「玉露」や「てん茶」など高級茶の生産が多いことが特徴ですが、近年宇治茶の生産量は減少傾向にあり、荒茶の生産振興、生産量の維持拡大が課題となっています。
そこで21年より、生産者向けの宇治茶生産管理システムを導入。防除・施肥などの圃場(ほじょう)管理をシステム化することによって出荷に必要な生産履歴や出荷伝票など荒茶出荷に必要な書類作成時間を短縮し、生産者の省力化を支援しています。
今後も宇治茶の生産振興と消費拡大、世界への発信に取り組み、茶市場のさらなる取り扱い拡大と市場機能の強化に努め、期待される市場を目指します。