労働力支援特集(福島) 農業労働力支援を通じた生産基盤の維持・拡大
体験会で農福連携が定着 JTBと連携し作業受委託も
福島県本部では、県内農業の課題解決として生産基盤の維持・拡大を目的とした労働力支援の取り組みを行っており、今年で5年目になります。
農福連携の取り組み
福島県本部がはじめに取り組んだ労働力支援の取り組みは農福連携です。県内の農福連携をコーディネートする福島県授産事業振興会と協働し、労働力不足の課題を抱えるJA施設・生産者のもとで近隣の福祉事業所が農作業のサポートを行うスキームを構築しました。
JAと県本部、同振興会の3者が連携して、労働力を求める生産者と、農作業に取り組みたい福祉事業所をマッチングします。生産者は必要な期間の農作業をサポートしてもらうことができ、福祉事業所は新たな労働機会の創出が期待できます。
従来の農作業の多くは、収穫時などの一部の期間に集中するため、雇用による労働力の補填(ほてん)は簡単ではないのが実情でした。スポット的に農作業を依頼できるような仕組みを検討している中でたどり着いたのが、本取り組みのスキームでした。
実は福祉事業所側でも、利用者の月額平均工賃が一般と比べて低いという課題を抱えていました。そこから「農業の労働力不足」と「障がいをもつ福祉事業所利用者の方の収入向上」という双方の課題解決に向け、同振興会と連携した取り組みが始まりました。
作業がスタートする前に、生産者と福祉事業所の認識のギャップを埋めるために行っているのが「農作業体験会」です。「頼んでみたけど思ったより作業が進まない…」「仕事を受けたけど思ったよりきつい…」といった認識のギャップが生じると、お互いが納得の上での作業ができないため、事前の体験会を通じて、どんな作業で、どの程度ならお願いできるかという認識を深め、Win‒Winの取り組みとなるようにしています。
体験会の開催数は取り組み開始1年目に6件、2年目に19件と徐々に増加。メディアに取り上げられる機会が増えると同時に、県内の生産者からも「(取り組みを)聞いたことがある」と言っていただくことが増えました。
22年度は県内で約2000人が農作業に参加し、生産者からも好評の声をいただいています。引き続き県内の労働力不足を抱えるJAや生産者に対する提案の一つとして、農福連携の普及・拡大に取り組んでいきます。
JTBとの連携
農福連携に続いて、JTBと連携した労働力支援の取り組みも行っています。取り組みは県内の選果場や野菜・果物の収穫作業を中心に行われ、スタートから今年で3年目を迎えました。
JAの担当が労働力に困っている生産者の窓口となり、JTBが作業員の募集を行います。生産者は手間をかけずに労働力を集めることができ、作業員は気軽に農作業に参加することができます。
近年、これまで選果場や収穫の現場を守ってきた作業員の方々が高齢となり、リタイアする事例が多くなっています。この取り組みが窓口機能を発揮し、今までは選果場や生産者とつながりの少なかった人を農業とマッチングすることで、生産現場の労働力不足に対応します。
「91農業」推進へ
県本部では本取り組みのように農業のハードルを下げることで、一般の方のライフスタイルに1割農業を取り入れる「91農業」を推進し、農業労働力支援の取り組みを拡大していきます。
【JTBとの連携による労働力支援を活用する生産者の声】
【JTBとの連携による労働力支援を活用する生産者の声】
【JTBとの連携による労働力支援を活用する生産者の声】