JAグループが描く農業のデジタルイノベーション
「AG(アグ)/SUM(サム) 2018」で神出元一理事長が講演
東京・日本橋で6月11日、「アグリテックサミット(AG/SUM)2018」が開かれ、神出元一理事長は「JAグループが描く農業のデジタルイノベーション」と題し講演しました。その内容を紹介します。
生産・消費環境の変化と 「農業のデジタル イノベーション」
農業の生産現場では、耕作放棄地の拡大や生産者の高齢化が進む中、新規就農者の増加といった変化も見られます。
食の消費を巡っては、共働き世帯の増加や高齢化が続く中、eコマースの拡大や訪日客の増加といった変化も進んでいます。
こうした生産と消費の劇的変化に対し、その解決の鍵の一つが「農業のデジタルイノベーション」だと思っています。
全農の研究開発の 取り組み
全農は半世紀前から自前の技術研究所を構え、農業技術やノウハウを蓄積してきました。この4月から開始した「Z-GIS」では、気象情報や圃場(ほじょう)ごとの情報などを位置情報とともにデータベース化されます。労働力不足問題に対しては、ドローンや搾乳ロボットの導入などを進めています。
新しい技術を生産者が使いこなしていくためには、JAグループによるサポートが必要です。TACのこれまでの10年間の活動データを、AIを使って処理できれば、全国の生産者のニーズに対する的確な答えを得ることができます。
これから取り組みたいことは、アグリフードバリューチェーンを新しい技術やAI、IoTを活用し、より高度化させていくことです。そのため、他企業との業務提携や出資を充実・加速化させていきます。
JAグループのデジタルイノベーション
われわれが目指すJAグループのデジタルイノベーションの姿は、営農・販売・金融・共済など各事業のデータを連携とエクスチェンジにより、高度に活用される仕組みをつくり、組合員や顧客の満足度を高めることです。
パネルディスカッション
講演後、神出理事長、農林中金の金丸哲也専務、日本経済新聞社の吉田忠則編集委員、日本総合研究所の三輪泰史シニアスペシャリストによるパネルディスカッションが行われました。
その中で、吉田編集委員から「農協に対し記者はネガティブである場合が多い。現場で農協や全農の取材をしたことのない記者が、あたかも農協が農業の発展を阻害してきたという思い込みで記事を書くことがある。日本の食糧問題が厳しい中、この苦境を救うことができるのは農協というインフラだと思う」との発言がありました。