農業の担い手確保へ体験事業 直売所出荷まで生産者が指導
JA佐野は栃木県の南西部に位置する佐野市を管内とし、豊かな自然に恵まれ、東京から70km圏内という立地を生かした事業を行っています。佐野市を代表する農産物であるイチゴや伝統野菜「かき菜」をはじめ、米やビール麦などの生産も盛んです。
農業参入のきっかけに サポート付き農業体験
JAと佐野市などで構成する「さのアグリツーリズム推進協議会」は、2022年度から生産者がサポーターとして農作業補助や技術指導を行う「サポート付き農業体験学習事業」を開始しました。
農業に興味はあってもきっかけがない方などを対象とし、参加者は年12回のカリキュラムで、生産者の指導を受けながらエダマメやキュウリ、トマトなどの数種類の野菜作りの各工程を体験できます。昨年は市内から7組、県外から1組の計8組が参加。参加者からは「現役の生産者に正しい栽培管理を丁寧に教えてもらえるので、安心して参加でき、とても参考になる」との声が上がっています。
専門的な技術を指南 トレーニングファーム
23年度から新たに「サポート付き農業」のステップアップ事業として、より広い圃場(ほじょう)と専門的な栽培技術の習得を支援する「トレーニングファーム事業」を開設しました。この事業は、将来の継続した営農活動とさらなる栽培技術と知識の向上を目指す人を対象としています。参加者は市内の休耕地を利用して季節の露地野菜を栽培し、定期的に生産者からサポートを受けながら、圃場と栽培の管理はもちろん、直売所での販売活動までを体験します。
JAでは、生産者の高齢化でインショップや直売所への出荷者が減っていることが課題となっています。事業体験後は、参加者が独立して営農活動ができるよう、農地や農機具のあっせんなどフォロー体制の整備も進め、地域農業の担い手確保や直売所への出荷者増加も目指します。
金井猛弘代表理事組合長は「生産者の高齢化や担い手不足で農地転用や農業の衰退が進む中、本事業が地域農業の改善、活性化につながることに期待したい」と話し、今後も地域農業の活性化に向けた取り組みを行う方針です。
JA佐野(栃木県)
概要 |
2023年2月末現在 |
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正組合員数 | 6292人 |
准組合員数 | 1万4042人 |
職員数 | 263人 |
販売品取扱高 | 20億5千万円 |
購買品取扱高 | 24億2千万円 |
貯金残高 | 2218億9千万円 |
長期共済保有高 | 3365億6千万円 |
主な農産物 |
米・麦・イチゴ |