特集

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畜産総合対策部

畜産サステナビリティ推進室を設置 持続可能な畜産酪農事業を目指して

気候変動対策、資源循環・耕畜連携、アニマルウェルフェアを重点課題に

 2022年度からの全農の中期事業計画に掲げたサステナブル経営に対応した取り組みと、23年度に畜産総合対策部に設置した畜産サステナビリティ推進室について紹介します。


JA綱領

わたしたちは

1.地域の農業を振興し、わが国の食と緑と水を守ろう。

2.環境・文化・福祉への貢献を通じて、安心して暮らせる豊かな地域社会を築こう。

3.JAへの積極的な参加と連帯によって、協同の成果を実現しよう。

4.自主・自立と民主的運営の基本に立ち、JAを健全に経営し信頼を高めよう。

5.協同の理念を学び実践を通じて、共に生きがいを追求しよう。


JAグループのサステナビリティ

 JAグループは2020年5月に「JAグループSDGs取組方針」を制定しました。この内容はJAグループの組合員・役職員の共通の理念を定めたJA綱領とも親和性が高く、持続可能な開発目標(SDGs)に向けた実践そのものがJAグループの事業の基本的な価値を共有するものとなっています。

 全農は、22年度から開始している中期事業計画で、SDGsの目標年度である30年と、さらにその先を見据えた事業モデルの再検討を進め、30年の全農グループの目指す姿を「持続可能な農業と食の提供のために“なくてはならない全農”であり続ける」としています。

 そして、目指す姿に向けて六つの全体戦略を設定して持続可能な社会に貢献していくこととしています。

 JAグループおよび全農全体の事業戦略を踏まえ、畜産事業にかかわる取り組みを強化・推進するために畜産サステナビリティ推進事務局が22年度に畜産総合対策部に設置されました。初めは「事務局」としてスタートしましたが、23年度に機構として「推進室」を設置しました。

 まず、初年度の1年間は畜産事業に関わるグループ内外の職員を対象にセミナーを6回、畜産サステナNEWSを計8回発刊するなどサステナビリティに関する意識啓発を勧めました。また、グループ内外のステークホルダーとの対話を重ねて、年度末に「畜産サステナビリティ戦略の方向性」として重要課題(マテリアルな項目)をまとめました。そして、課題解決に向けた具体的な取り組みを推進していくとともに進捗(しんちょく)を「畜産サステナビリティレポート」を発行して情報開示していくことにしました。ここでまとめた重要課題とは次の3点です。

畜産サステナNEWS(活動内容やコラムを掲載)
 
気候変動対策

 一つ目は気候変動対策です。牛の消化管発酵(ゲップ)のメタンガスがクローズアップされていますが、畜産業は本来人間が食べず、消化できないものを焼却処分せずに飼料として再利用し、良質なタンパク源に変換するアップサイクルの側面を有しています。また、家畜排せつ物由来のバイオガス発電は再生可能エネルギーとして注目されています。温室効果ガス排出量を「測る」「削減する」「知ってもらう」というそれぞれの取り組みを進めて畜産事業の環境負荷低減と情報発信を進めます。

資源循環・耕畜連携

 二つ目は資源循環・耕畜連携です。食料安全保障のリスクが顕在化し、国としてもサーキュラーエコノミーを通じた「新しい成長」が望まれる中、畜産事業の進むべき方向性として国内資源の循環利用は極めて重要であり、とりわけ畜産業が家畜排せつ物などのリサイクルの分野で果たす役割は大きいと認識しています。

 この分野での具体例として推進室では22年度に農林水産省の補助事業を活用して耕種(需要)と畜産(供給)とのマッチングを促進するためのウェブサイト「耕×畜なび」を開発・発表しました。

 また、推進室では昨年度実施した宮城県の稲わらを鹿児島県に配送した耕畜連携の広域実証で商流・物流面のコーディネートに関わりました。実証を通じて運賃面での課題を改めて認識した一方で、各地で国産稲わらのニーズがあることを確認できました。引き続き全国各地の生産現場とも連携して課題解決に向けた取り組みをサポートしていきます。

耕×畜なび:トップページ画面
 
アニマルウェルフェア

 三つ目はアニマルウェルフェアです。EUを中心にアニマルウェルフェアを重視する流れが世界的に広がりを見せています。全農グループは生産者団体として国や取引先などとのコミュニケーションを重ねて理解醸成を進めています。

今後に向けて

 畜産サステナビリティ推進室が始動して全農グループ内の耕種・総合エネルギー・米穀など各部門との連携に加え、他企業や行政機関等、グループ外との連携も増えてきており関心の高さと協業の可能性を日々感じています。さまざまなステークホルダーと共に畜産サステナビリティ戦略を立案していきたいと考えています。

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