「種もみ王国・富山」担い 産地維持拡大へ農家育成
JA富山市は、水稲を主体とした農産物と種子生産を行っています。
採種技術の向上を目指し 定期的に研修や情報交換
富山県には五つの種子場があり、当JA管内には2番目に種もみ生産数量が多い種子場を有しています。近年、飼料用米などの普及に伴い、大きな割合を占めていた「コシヒカリ」は減少傾向ですが、新品種や「コシヒカリ」以外の品種の生産数量の増加などにより、毎年約700㌧の種もみを生産しています。平成29年産は22品種(うるち19品種、もち3品種)、約691㌧(約144㌶)を生産しました。
種子農家は51戸で、「新保採種部会」に所属しています。部会は専業農家や法人農家で構成され、水稲種子だけではなく、大豆・大麦の種子生産も行っています。また、優良な種子の供給と採種技術の向上を目指し、研修会や情報交換を定期的に実施しています。
種もみ生産は、主食用米生産ではあまり行われない異茎株抜き取りがあり、異品種と思われる株、田植え時に列上に生えていない株や株間に生えている株などを抜き取ります。また同じ株であっても穂の高さや形状が違う場合も抜き取りの対象となります。出穂後は県行政による圃場(ほじょう)審査が行われ、異茎株がないか、罹病(りびょう)している株が無いか審査され、合格した圃場だけが「種子」として刈り取りの対象となります。
他にも防除の回数が多いことや、契約栽培が中心で多品種のため生産にかかる期間が長いという負担もあり、主食用米栽培農家から種子生産農家への転向は敬遠されていました。
県ブランド認定を契機に 新規、後継者が増加傾向
「富山県ブランド」に「種籾(たねもみ)」が認定されたことから、新規に種子生産に取り組む農家や世代交代で種子生産を継続する農家も徐々に増えています。
この現状を維持拡大していくため、種子生産独自の栽培技術を継続的に実践できるよう農家育成に努め、県行政と連携して「種子農家を対象とした栽培に関する講習会」、「種子生産へ転向した農家や世代交代をした若手を対象とした研修会」を実施して高品質な種子生産に努めていきます。
JAでは新品種「ゆうだい21」の種子生産を平成27年度から開始し、平成29年度は4㌶で種子生産をしました。この品種は宇都宮大学で育種され、生産当初は富山県での栽培知識が無かったことから大変苦労しました。今後は、業務用米として取扱数量の増加が見込まれており、今までの経験や知識を生かしてさらなる生産拡大に取り組んでいきます。
概要 | 平成30年2月28日現在 |
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正組合員数 | 2415人 |
准組合員数 | 1981人 |
職員数 | 132人 |
販売品取扱高 | 20億5千万円 |
購買品取扱高 | 16億7千万円 |
貯金残高 | 432億2千万円 |
長期共済保有高 | 1509億6千万円 |
主な農畜産物 | 水稲・大豆・大麦 |