新規就農者支援や園芸施設の助成で産地の維持拡大、自己改革の実践へ
栃木県の北東に位置するJAなす南は、那須烏山市と那珂川町の1市1町を管内とし、米や園芸、畜産が盛んです。創造的自己改革の実践にも積極的に取り組んでいます。
行政と一体で研修・後押し 南那須農業アカデミー
JAや行政が一体となり担い手の確保や育成を目指して南那須地域新規就農者支援対策協議会を設立しています。同協議会は2021年度から「南那須農業アカデミー」を開講し、新規就農希望者を受け入れ農業技術や経営手法を学べる1年間の研修を行っています。
梨部門で研修をした中村麻衣さんは、那須鳥山市で観光フルーツ農園の開園を志し、第1期生として受講しました。22年4月から那須烏山市認定新規就農者の認定を受けて、旧「阿相りんご園」を第三者継承し、新たに「体験型農園フルーツファーム烏山」を開園。現在は梨の出荷を終え、リンゴの販売とリンゴ狩りを行っています。
イチゴ部門で今年4月から研修生になった山本幸志郎さんは、家族の紹介で同制度を知り、那珂川町でイチゴ農家になろうと応募しました。研修生に栽培技術や経営管理を指導する「とちぎ農業マイスター」として栃木県塩谷南那須農業振興事務所が認定した同JAいちご部会青年部9人の元で研修しており、23年4月から就農し、約15aの圃場(ほじょう)で経営を始める予定です。
新たに園芸施設に助成 新規・規模拡大を支援
22年度から管内での園芸作物生産基盤の維持・向上、所得増大につなげるため、園芸作物の新規栽培や規模拡大を目指す農業者に対し、栽培施設(パイプハウス・果樹棚)導入費用の一部助成を始めました。支援事業では、園芸作物を栽培する施設の設置費用を上限150万円に4割以内で助成。国や県の事業と併用を可能として自己負担を減らすことができます。組合員や今後組合員になる見込みの新規就農者などが対象で、6月から募集を開始し、現在10人の申請を受け付けました。
また、生産者が年々減少している中、カボチャのブランド産地として産地の維持拡大を図るため2022年産かぼちゃ産地育成事業に取り組みました。面積増反・維持対策事業は既存部会員の面積増加に対し、1a当たり5000円の助成。新規生産者育成事業では、新規生産者に22年産の生産資材、苗代金など栽培経費の主である苗代や晩霜対策の被覆資材一式を全額助成しています。22年度は中山かぼちゃ部会で新規生産者2人、面積増反が21a、みなみちゃん南瓜部会で新規生産者2人、面積増反が44aになりました。
JAなす南(栃木県)
概要 | 2022年2月28日現在 |
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正組合員数 | 8110人 |
准組合員数 | 4485人 |
職員数 | 201人 |
販売品取扱高 | 30億9千万円 |
購買品取扱高 | 17億3千万円 |
貯金残高 | 924億8千万円 |
長期共済保有高 | 2676億7千万円 |
主な農畜産物 | 米、イチゴ、梨、桃太郎トマト、中山かぼちゃ、みなみちゃん南瓜、花きなど |