スタートアップ企業と全農の取り組み(株)エアロネクスト
ドローンで和牛新鮮受精卵の配送実験を実施
AgVenture Lab(アグベンチャーラボ)が取り組むJAアクセラレーター第3期(令和3年度)採択先の(株)エアロネクストの子会社でドローン(小型無人飛行機)配送サービスを行う(株)NEXT DELIVERYは7月1日、世界で初めて和牛新鮮受精卵のドローン配送実験を行いました。
エアロネクストは、車両による陸送とドローンによる空輸を融合した“新スマート物流”の社会実装を目指しているスタートアップ企業。山梨県小菅村や上士幌町などと包括連携協定を締結し、ドローン物流の実現を目指しています。
JA全農ET研究所は黒毛和牛から採卵・選別した新鮮受精卵を周辺の酪農家まで車両で陸送、乳牛への移植を行っています。エアロネクストはJAアクセラレーター第3期終了以降も本実証実験の検討を行い、今回実現に至りました。
今回の実証実験では、JA上士幌町管内の数軒の酪農家が協力。そのうち研究所から約10kmの距離にある熊谷牧場にはドローンを使って受精卵を13分ほどで空輸し、ただちに乳牛に移植しました。
新鮮受精卵は凍結受精卵に比べて必要な資材が少ないことに加え、エアロネクストが開発したドローンの機体構造設計技術「4D GRAVITY(R)」により、受精卵へ与える振動を減らしながら、直線距離で空輸することで配送時間が短縮でき、さらなる受胎率の向上が期待できます。また、受精卵移植師または獣医師に受精卵の受け取りを依頼できるなど、配送から移植までの一連のオペレーションにかかる労働力の削減も期待できます。
ドローン物流の社会実装には法規制などにより実現までに時間を要するものと見込まれています。実用化に向けてより過酷な環境下(雪・氷点下など)でも安定して配送できるかなど、今後もさまざまな検証に取り組んでいきます。