ブランドヒストリー(8)
全国一のビワ産地から届く「長崎びわ」県下で栽培に取り組む
長崎県を代表する特産品「長崎びわ」。現在、日本で栽培されているビワは、長崎県の「茂木びわ」から広まったといわれています。みずみずしくてジューシー、柔らかな果肉と上品な甘さが初夏の訪れを感じさせてくれる季節感たっぷりの果実です。
長崎びわの始まり
長崎のビワ栽培は、170年ほど前に長崎の代官屋敷に奉公していた一人の女性が、唐(現在の中国)から持ち込まれたビワの種子を畑にまいたのが始まりとされています。生産量は全国で2890tのうち、876t(令和2年)と、全国の30%を占めるなど、生産量はずっと日本一です。
手間暇かけて大切に育てる
「長崎びわ」は露地栽培が主ですが、寒害から果樹を守るため、近年ではハウス栽培も積極的に行われるようになりました。11月〜2月にかけて花が咲くため、日本の最西端に位置し、海に囲まれ、温暖な気候に恵まれた長崎の自然環境に適しています。
ビワは1枝につぼみが100個以上つきますが、大粒にするために、最終的に品質のよいものを1房に3粒だけ残し、病気や虫の害、強い日差しによるしみなどから果実を守るため、一つ一つ丁寧に袋がけを行います。大切に育てられたビワは、ハウス栽培の「長崎早生」をトップバッターとして2月上旬より出荷が開始され、その後、大玉の「福原早生(商品名:甘香(あまか))」や「涼風」に移り変わります。5月の連休明けから露地栽培の「長崎早生」の出荷が始まり、その後「なつたより」「茂木」と、6月上旬まで出荷が行われます。
自然災害に打ち勝ち 高品質なビワを出荷する
ビワ栽培の歴史は自然災害との戦いともいえます。ビワ園は海に面する傾斜地に作られているので、度々、台風による倒木や塩害などで甚大な被害を被っています。また、鮮度のいいビワは表面にこまかな産毛が密生しています。収穫して選別、箱詰め作業の時に傷や指のあとがついたりするので、細心の注意が必要です。集出荷場に運ばれたビワは、検査員が一箱ずつ厳しくチェックして、検査済みのものは「検査票」を入れて出荷しています。
ビワは鮮度が命。海からの風に包まれ、降りそそぐ太陽の恵みを果実にたっぷりと詰め込んだ長崎県を代表する特産品。それが「長崎びわ」なのです。