特集

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耕種総合対策部

事業承継

産地の10年後を見据えて取り組もう

 今、皆さんの住んでいる地域ではどんな作物をメインに栽培されているでしょうか。その産地を担っている生産部会はどのような部会員で構成されているでしょうか。そして10年後その部会員の構成はどうなっているでしょうか―。今回の特集では10年後の産地がどうなっていくかについて考えたいと思います。


(1)産地の10年後を考えてみよう

 令和2年時点の基幹的農業従事者は136万人おり、そのなかで65歳以上の高齢者の割合は70%を超えます。日本の平均健康寿命(日常生活を制限されることなく健康的に生活を送ることができる期間)は72歳と言われており、10年後にはこの70%全員が健康寿命を超えるということになります。

 この数字からさらに成り行きシミュレーションをおこなうと、10年後にはこの70%の生産者のうち3分の2は離農することとなります。現在64歳以下の生産者である30%の生産者が全員営農を継続したとしても、基幹的農業従事者は約70万人となり、10年で半分近くに減少することとなります。当然産地によって状況は異なりますが、このようなシミュレーションをおこない状況を予測しておくことが、10年後の産地を考えるうえで重要になります。

(2)次世代の確保に向けた取り組み

 JAグループではこのようなシミュレーションをおこない、産地の10年後のビジョンを作成、さらには地域農業の次世代の担い手を確保・育成するため、「次世代総点検運動」を展開することを第29回JA全国大会で決議しました。

 先ほどのシミュレーションは非常に簡易的でしたが、「次世代総点検運動」では、それぞれの産地において10年後に「誰が」、「どのような規模で」、「何を」栽培しているのか、具体的なイメージを策定し、その産地を維持し地域農業振興計画を実現するためには担い手をどの程度確保する必要があるのかをシミュレーションすることから始まります。

 そして、その担い手はどのように確保するか、「次世代総点検運動」では新規就農支援と事業承継支援を取り組みの核としています。

 事業承継支援では、①後継者を確保している経営体では経営体内での事業の承継、②後継者を確保していない経営体では経営体の外から後継者候補を見つけてくる、という2パターンになります。特に②の場合、新規就農者支援とも組み合わせて取り組みを展開していく必要があります。

(3)部会10年プランを作ってみよう

 全農では「次世代総点検運動」に先駆けて、事業承継士・伊東悠太郎氏監修のもと、令和2年7月に「事業承継ブック部会版~産地全体の話し合いのきっかけに~」を発行し、産地としての将来ビジョンを策定する取り組みを支援してきました。この「事業承継ブック部会版」の取り組みでは、統計情報や部会員へのアンケート調査などから部会の将来像をシミュレーションし、めざすべき部会の姿を策定、そのために必要なことを部会全体で協議・決定し、部会10年プランとしてとりまとめます。

 この取り組みを着実に実践していくことで、「次世代総点検運動」に掲げられた「次世代の地域農業の担い手の確保」を実現します。

(4)事業承継ブックについて

 「事業承継ブック部会版」に加え、親子間の事業承継を支援する「事業承継ブック親子版」、集落営農の10年プランを策定する「事業承継ブック集落営農版」、現経営者から後継者へのスムーズなバトンパスを支援する「ハッピーリタイアブック」を発行し、事業承継を支援しています。

 

事業承継ブックは以下URLから確認いただけます。冊子をご希望の方は、JA全農TAC・営農企画課までご連絡ください。
電話:03-6271-8276
https://www.zennoh.or.jp/tac/business.html

 
「事業承継ブック」を活用したJAさがでの話し合い
部会版

 事業承継ブック部会版はこちら
https://www.zennoh.or.jp/tac/pdf/book_7.pdf

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