令和3年度 各事業の主な取り組み 第3回 耕種総合対策/施設農住事業/耕種資材事業
令和3年度に全農が各事業で展開した主な取り組みを紹介します(全5回)。
耕種総合対策部
ゆめファーム全農 3圃場(ほじょう)が目標収量を達成
高度施設園芸推進室は、2014年から大規模多収栽培技術の確立・普及と、人材育成を目的とした「ゆめファーム全農」プロジェクトに取り組んでいます。昨夏、ゆめファーム全農3圃場全てで目標収量を達成し、国内平均を大幅に上回る収量を成し遂げました(栽培面積当たり、栃木[トマト]43.2t/10a、高知[ナス]35.0t/10a、佐賀[キュウリ]56.2t/10a)。
今後は、ゆめファーム全農を研修拠点とした人材育成および、この実証で培った、ハード・ソフト面におけるさまざまな技術とノウハウを凝縮した「ゆめファーム全農パッケージ」の普及拡大へ注力していくとともに、施設園芸の振興を図ります。
タマネギ直播栽培用 作業機を共同開発
全農・農研機構・クボタが開発した「タマネギ直播(ちょくは)栽培用の作業機」が、内容に優れ社会的関心が高い成果として、農林水産省発表の2021年農業技術10大ニュースに選ばれました。
タマネギ直播栽培は、育苗・苗移植作業が不要となり、生産費や労働時間を削減できる技術として注目されています。この作業機は直播栽培の課題であった出芽や初期生育を改善し、水田転換畑での利用にも適しています。直播栽培に使用できる登録除草剤の近年の拡大と相まって、タマネギ直播栽培の普及拡大により、生産者手取りの向上や水田の高度利用による露地園芸の生産振興に寄与することが期待されます。
施設農住部
自らメンテナンスできる技術を学ぶ「共乾施設保守管理講習会」
農業共同利用施設は、収穫後の作業を集約し、機械化と共同利用による合理化で、生産者の労力軽減や荷造り調製に関わるコスト低減などの効果が期待されていますが、課題の一つに「老朽化に応じた機能維持のためのコスト負担」があります。
施設農住部では、この課題解決を支援するため「共乾施設保守管理講習会」を開催しています。「極力自らメンテナンスできる技術水準を得ること」を目的とし、JAの共乾施設担当者を対象に、保守管理に関わる取り組みの相互発表や意見交換、点検整備に関わる基本作業実習などを行っています。新型コロナ感染拡大により、昨年度に続き、今年度もWebを活用しての開催となりました。今後もJAの農業施設運営を支援する講習会の実施に取り組んでいきます。
耕種資材部
土づくり運動の展開
全農(の前身である全購連)が昭和45(1970)年に「土づくり運動要領」を制定してから50年以上が経ちます。毎年、施肥診断技術者養成講習会を開催し、土壌分析とそれに基づく施肥改善指導を行える人材の育成に取り組んでいる他、全農広域土壌分析センター(全国9カ所)では、年間11万6千点(令和2年度実績)の土壌分析を行っています。土壌分析に基づく「適正施肥」の実践は、作物の収量・品質を保ちつつ過剰な施肥コストを抑制するきっかけになります。
令和3年度は、12月に「全国土づくり大会2021〜未来の食のために〜」を開催し、Web参加も含め200人を超える方が参加しました。全国の優良事例の表彰と事例発表、3人の講師による基調講演、全農の取り組み紹介などを行いました。
土づくりの意義や価値を広く発信するためにも、この大会で紹介した優良事例や基調講演の内容について、動画投稿サイトYouTubeで発信しています。
検索方法
(1)YouTube「全農耕種資材部」で検索
(2)全農耕種資材部チャンネル内の再生リスト「全国土づくり大会2021」をクリック
「JA資材店舗CS甲子園」による店舗活性化
肥料・農薬・資材を対象に、(1)JAならではの売り場作り・店作りによる組合員満足度向上、(2)早期陳列による実績拡大、(3)JAオリジナル品の陳列強化による競合店との差別化、(4)大会を通じたJAグループ内のネットワーク作りを目的に、JA資材店舗全体のレベルアップを図る大会として昨年から始まり、今年で2年目を迎えます。
前大会に参加した店舗からは、大会をきっかけに「店舗スタッフのモチベーション向上、意識改革、POP作成技術の向上などにつながった」との声をいただきました。
この取り組みを通じて、組合員から支持されるJAならではの店舗づくりを目標に、これからもさらなるレベルアップを目指します。
生産資材における受発注業務のシステム化の取り組み
JAグループでは、肥料・農薬など生産資材の受発注業務の改善を目的に受発注センターシステムの開発・普及に取り組んでいます。
すでに導入を進めている「JAのWEB注文機能」に加えて、「組合員からの受注機能」の1次開発を完了しました。この機能は、組合員が自分のスマートフォンなどから肥料・農薬などをJAに注文する「組合員によるオンライン注文」や、JA職員がタブレット端末を操作して商品の検索や組合員から受注する「JAによるモバイル受注」に対応しています。
現在は先行モデルJAでのテスト利用を行っていますが、今後はテスト利用の結果を踏まえ、必要なシステム対応や手続きの整理を行った上で、組合員の利便性向上に貢献するべく導入に向けた取り組みを進めます。