令和3年度 各事業の主な取り組み 第2回 米穀事業/麦類農産事業/園芸事業
令和3年度に全農が各事業で展開した主な取り組みを紹介します(全5回)。
米穀生産集荷対策部・米穀部
「生産提案型事業」への転換
生産者の営農の安定・所得の拡大に向け、業務用実需者からのニーズに応じた契約栽培など、「生産提案型事業」への転換を進めています。
多収品種などの複数年・固定価格での契約などにより、面積当たりでの所得確保を提案しています。生産者・JAから賛同いただいた結果、多収品種を中心として、令和3年産で10万トンの目標を達成する見込みです。
また、種子生産法人との資本提携や実需者も含め関係機関と連携した新品種育成などを通じ、多収品種の安定的な種子確保や開発に向けて取り組んでいます。
物流改善の取り組み
米穀の輸送力を確保する観点から手荷役を削減するために、フレコン輸送の拡大と全農統一フレコンへの規格集約、および紙袋輸送のパレット化を進めています。将来的には、12年産までに全農統一フレコンへの全国統一と6年産までに紙袋輸送の8割をパレット化することを目指します。中でも全農統一フレコンは、回収・清掃することで複数回利用できる点がSDGsの取り組みとして評価され、本格導入初年度の3年産で約12万枚が導入されており、4年産は25万枚程度の拡大を見込んでいます。
パックごはん事業に参入
JA全農ラドファ(株)の全株式のうち約7割を取得し、3年4月1日からパックごはん事業に参入しました。同年7月には、全農グループが展開している「農協シリーズ」の新商品として、「農協ごはん」を新たに販売開始しました。
同社の特徴として、ガス直火炊き、しゃり切りといったお米のおいしさを最大限に引き出す独自製法にこだわっています。おいしいパックごはんをお届けすることで、国産米の消費拡大により一層取り組んでいきます。
麦類農産部
国産大豆・麦の安定供給と販路確保の取り組み
大豆では、単収向上による生産量の安定を目的とし、農研機構と連携して極多収優良新品種の開発に取り組みました。また、本会営農部門と連携し、生産技術確立に向けた栽培試験などの実施により、単収向上優良生産事例作りの実証事業の取り組みを進めています。
また、昨今注目を集めているプラントベースフード(大豆をはじめとした植物由来の原材料を使用した食品)など、新たな食品用途に対して、営業開発部とも連携しながら国産大豆需要の拡大に取り組んでいます。
麦類では、日清製粉(株)および農研機構と連携し、国産小麦の共同開発を開始しました。目的は製粉業者が使用しやすく国内広域に栽培特性のある汎用性の高い国産小麦の開発で、今後は試験栽培も行います。
園芸部
農家所得向上を目指し 園芸事業の課題解決に取り組む
生鮮青果物の販売強化では、卸売市場との取り組み深化の一環として、東京青果(株)と資本業務提携を行いました。また、大阪センターの施設改修に着手するなどJA全農青果センター(株)の機能拡充にも取り組みました。
さらに、大手青果物流通会社の(株)ファーマインドと資本業務提携し、新たな生産・販売スキームの構築や物流面での連携を行いました。
輸入品のシェアが高い加工・業務向け原料の国産比率向上の取り組みとして、令和6年度の冷凍青果物工場の設置に向け久喜準備室が始動し、販売先への事前営業によるニーズの掘り起こしを行いました。今後は具体的な品目選定や、実需者ニーズに基づく生産振興を進めていきます。
生産者の労力軽減や手取り安定化に向けては、広域集出荷施設や直販関連施設の設置を進めており、本年度は、鳥取、岐阜の2カ所で新しい施設が稼働しました。
これらの取り組みを通じ、今後も生産基盤の維持・拡大と生産者手取りの最大化に努めていきます。