【海外拠点便り】全農(上海)貿易有限公司
中国における原料調達や 日本産農産物の販売拠点
全農(上海)貿易有限公司は、2020年8月に設立したばかりの全農グループの現地法人では一番若い海外拠点ですが、その歴史は、(株)組合貿易上海駐在員事務所として開設された(1991年9月)約30年前にさかのぼります。全農グループ会社再編で、2005年10月に全農グリーンリソース(株)上海駐在員事務所に引き継がれましたが、一貫して、当初からの事業目的であるリン鉱石やリン酸肥料を中心とした肥料原料、米麦用フレコン袋などの生産資材の調達業務に携わってきました。
さらにさかのぼれば、全農本所旧肥料農薬部が編さんした「全農肥料輸入業務40年史—海外挑戦の軌跡」によると、戦前の1935年には、全農の前身である全購連が大連に駐在員事務所を開設して、満州各地にあった搾油工場から肥料用大豆かすの調達業務を行っていました。海外拠点としての上海は、中国における生産資材原料調達の歴史を引き継ぎながら、現在まで事業を継続してきたとも言えます。
当社が設立してからは、新たに日本産食品の輸入販売事業をスタートさせました。輸入規制が強い中国では、販売可能となる品目範囲が精米や加工食品(酒類を含む)に限定されていますが、今後、和牛、青果、乳製品など幅広く輸入解禁が進んでいくことが期待されています。
時代や体制は変わっても、中国における原料調達や日本産農産物の販売拠点として、今後もJAグループと海外をつなぐ事業の構築と発展に貢献していきます。
スタッフに聞く
イチオシ現地食
上海と聞けば、「上海ガニ」を思い浮かべる人が多いと思いますが、当社スタッフのイチオシは、上海の家庭料理で定番中の定番とされている上海版ボルシチ「羅宋湯(Luo Song Tang)」です。酸味に甘味が加わり、豊かな香りを漂わせます。脂っこくても飽きず、滑らかでさっぱりとした上海独特の味が、各家庭で作り上げられました。これほどまでに上海に普及した背景は、1917年のロシア革命にまでさかのぼります。この革命によって中国にもたらされたものは共産主義の思想だけではなく、多くの非共産主義勢力の移民たちが持ち込んできた食文化もあったのです。