安川電機と業務提携し、農業分野でのロボット技術の応用による自動化に取り組んでいます
全農と(株)安川電機は、農業分野の自動化を実現し、日本の農業の発展と食と農の国際競争力強化に貢献できると考え、2018年12月に業務提携契約を締結しました。現在、(1)畜産、(2)農業生産、(3)流通販売の3分野において自動化技術の可能性を検討しています。安川電機の事業内容と、協業しているロボット技術の実証について紹介します。
世界トップレベルの ロボット技術を持つ安川電機
安川電機は、産業用ロボットやサーボモータ(電子部品や半導体などの製造で高い精度が求められる生産機器に組み込まれている部品)、インバータ(大型空調やエスカレーター・エレベーターなどの社会インフラで使われる、モータの加速を調整する装置)などを製造するメーカーです。1915年の創立以来、その製品と技術は常に時代の先端企業を支え続けてきました。産業用ロボットは世界有数のシェアを誇ります。
ロボット技術の実証
(1)キュウリの葉かき作業の自動化
ロボット技術導入の実証の一つが、全農が持つ「ゆめファーム全農SAGA」におけるキュウリの葉かき作業の自動化です。キュウリ栽培には、新しい葉に光が当たりやすくしたり、通気性をよくしたりするために、古い葉や重なっている葉を取り除く「葉かき」が必要です。これまで人の手で行われてきた本作業について、2019年から自動化の検討を始めました。農業において深刻な課題である人手不足の解決策となるよう、引き続き開発を進めていきます。
(2)イチゴの選果作業
2021年からは安川グループの技術開発拠点である安川テクノロジーセンタを活用し、イチゴ選果作業の自動化を実証しています。イチゴの選果作業は、高い精度が求められ機械化が困難でした。実証ロボットはカメラでイチゴの大きさを選別し、トレーに移し替える動きができます。繊細な果実を扱うにはまだ多くの課題がありますが、休まず正確に作業を続けられるロボット化には大きなメリットがあると考えられます。
安川電機 技術開発本部 アグリメカトロニクス開発部
部長 松浦 英典
農業は、青果物などが日々成長しかつ、形状や硬さも異なることから、ロボットの適用が難しい分野でした。そのような中で、今後の農業の人手不足や高齢化などを見据え、JA全農と連携して、ロボット技術やモーション制御技術などを活用しながらロボットへの展開を進めています。現在はAI技術を駆使したキュウリの葉かきや、カメラを用いたイチゴの選果での自動検査など検証を行っています。これらの課題を解決し、生産性を考慮した自動化の取り組みを加速してまいります。
JA全農 耕種総合対策部 高度施設園芸推進室
室長 吉田 征司
日本では業界問わず労働力不足が問題となっています。農業においても労働力不足は深刻な問題となっており、雇用したくても雇用できないという事態が現実として起きています。この大きな課題に対する解決策の一つとしてロボット技術の農業への応用があると考えています。課題は多くありますが、世界トップクラスのロボット技術を持つ安川電機と連携し、性能とコストを念頭に置き、一日でも早い現場実装を目指して開発を進めてまいります。