組合員目線で地域の活性化と発展を目指す
JA山田村が事業エリアとする富山市山田地域。山田村とは、富山県中部の婦負郡に存在した村で、2005年4月に7市町村が合併し、現在は富山市となっています。豪雪地帯のため、主要産業は水稲中心の農業と林業でしたが、農業用地開発事業で畑を造成し、中山間地の気候を生かした夏ダイコンの産地育成や、菓子メーカーとのジャガイモの契約栽培にも取り組んだ時期がありました。
しかし、農業就業者の高齢化や核家族化の影響で農業者の減少が急速に進み、その対応に向けた取り組みが課題となっています。
気候条件を生かした数々の特産品「啓翁(けいおう)桜」「リンゴ」「米」「エゴマ」
同JAでは、牛岳高原の肥沃(ひよく)な土と高地という特性を生かした特産品の栽培に力を入れています。当地域は富山県内でも「知る人ぞ知る」特産品の宝庫です。
中でも「啓翁桜」は名高く、秋の訪れが早い標高300〜400mの栽培地では、枝が十分に伸びきらないうちに休眠期を迎えるため、花芽の間隔が狭く、花ぞろいの良い枝に仕上がるという特長があります。北陸一の産地でもあり、山田村花木生産組合長・石崎貞夫さんは「米やソバと収穫時期が重ならないため、農閑期の『冬の仕事』にもうってつけです。花はおしゃれで、ある意味、若い農家さんに向いています。新規就農の移住者が来てくれたら良いのですが」と若い後継者に期待をかけます。
6次産業化・食育事業で地域の活性化
富山市との連携事業である「エゴマの6次産業化」では、13年からJAを中心に露地での試験栽培に取り組み、市が栽培助成も実施するなど、徐々に栽培面積が増えています。また、「リンゴ園」において小中学生を対象にした農業・食育事業を展開するなど、幼少期から農業への理解を深める活動を行っています。
組合員目線での事業展開
組合員の高齢化による利便性を考え、同JAの事務所・売店を1階に集中し、売店をコンビニ(Yショップ)化することを決定し、20年11月にリニューアルオープンしました。
市町村合併後、少なからず地域が寂れていくなか、小さなJAが生き残ってきたのも「組合員をはじめ地域の皆さんが、JAを守り、より所にするという意識のたまものだ」と、若林正幸組合長は感謝を忘れません。これからも地域社会の持続と発展のため「食と農業を基軸として、地域に根差した協同組合」を目指していきます。
概要 | 令和3年2月末現在 |
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正組合員数 | 342人 |
准組合員数 | 67人 |
職員数 | 15人 |
販売品取扱高 | 1億2千万円 |
購買品取扱高 | 2億7千万円 |
貯金残高 | 48億2千万円 |
長期共済保有高 | 80億9千万円 |
主な農産物 | 米、ニラ、リンゴ |