たゆまぬ挑戦で、次の50年も「組合員・地域にとってなくてはならない全農」であり続ける
7月30日に開催された通常総代会後の経営管理委員会において、代表理事理事長に選任された野口栄です。就任に当たりごあいさつと所信を述べさせていただきます。
全農は、今次中期3か年計画の最重点施策の総仕上げに取り組んでおりますが、着実にその成果を出せていると感じています。これは関係各位のご協力のたまものであると同時に、全農グループで働く2万7000人余りの役職員、社員全員が使命感をもって取り組んできた結果でもあります。
このたびの通常総代会においては、令和2年度までの取り組みの成果についてご報告いたしました。併せて令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、国民生活や経済活動が著しく制約され、大変厳しい事業環境の中で、会員の皆さまにご結集いただたき、取扱高は4兆3326億円と、計画を10%下回りましたが、前年比では97%を確保することができました。
収支面では、事業総利益は計画未達となりましたが、事業管理費の削減などにより、事業利益、税引前当期利益とも、計画を上回ることができました。出資配当については、コロナ禍においての会員の皆さまのご結集に報いるため、計画に1%上乗せし3%とすることで、ご承認いただきました。
また、現在、全農は、脱炭素・循環型社会への対応やIT・DXの加速化など新たな環境変化の中にあります。さらに、生産基盤の縮小をはじめ、農業生産・流通・消費の現場でも多くの課題対応を求められています。一方で多くの課題があるからこそ、かつてないほど、全農グループに対する期待があるとも理解をしています。
さらに、コロナ禍によって予期しなかった変化も起きました。国内食料供給の重要性についてあらためて評価されたわけですが、コロナ禍を新たな社会秩序や価値観がもたらされる予兆としてとらえ、全農グループにとって、環境変化に対応した新しい事業展開が必要と考えます。
そのためには次の三つの視点で経営に臨んでまいります。
一つ目は、新しい領域・事業へのさらなる挑戦です。現在の事業領域から、より生産の現場に、そしてより消費・実需者の現場に、より深くより広く領域拡大してまいります。
二つ目は、そのためにも、基盤事業といわれる現在の事業を一層磨き上げてまいります。デジタル化の推進や外部との業務提携を進め、生産者・組合員にとっての魅力をさらに高めてまいります。
三つ目は、安定した経営基盤作りのため、グループ会社も含めて、全農グループの一体化と融合を進めます。多様性に富んだ人材が活躍できる環境が新たな変革を起こす力となります。
今、全農では全役職員が参加して来年度からスタートする新しい中期計画の策定に着手しています。例年の3か年という視点を超え、国連の提唱するSDGsや農林水産省が示す「みどりの食料システム戦略」でも目途として定めている2030年に向けた、持続可能な農業と食のあり方を念頭に検討を進めています。
それに先立つ来年3月30日には全農創立50周年を迎えます。これまでの50年は、時々の時代の変化の中で、全農グループ役職員が挑戦し続けてきた歴史でもあります。その歴史を引き継ぎ、次の50年も「組合員・地域にとってなくてはならない全農」であり続けるために、役職員一人一人がたゆまぬ挑戦で成果を上げ、全農に与えられた使命を全うするよう、かじ取りをしてまいります。
引き続き、皆さまからのご指導を賜りますようお願い申しあげます。