JAアクセラレーター(第3期) 採択企業紹介(2)
AgVenture Lab(アグベンチャーラボ)で5月24日、JAアクセラレーター(第3期)の最終審査コンテストが開催され、9社が優秀賞として採択されました。今号では3社を紹介します。
EF Polymer株式会社
プラン名
生ゴミから作る、干ばつや土壌劣化を解決するオーガニックポリマー
同社はインド出身のナラヤン・ガルジャールさんが代表を務める、沖縄県に拠点をもつインド発のスタートアップ企業です。食品廃棄物などの生ごみを原料とした、高吸収性ポリマーの開発・販売を行っています。
ポリマーは農業や林業分野における土壌改良剤として期待されています。同社が開発した「EFポリマー」は、土壌の水分を長期にわたり維持するだけでなく、100%生分解可能で、ビタミンやミネラルなどの栄養素を多く含む効果的な資材と言われています。沖縄県では、赤土流出防止に向けた実証実験などを行ってきました。
同社は生ごみの処理による大きな環境負荷、気候変動の影響によって引き起こされる干ばつの問題を、生ごみを資源とする「EFポリマー」の普及によって解決し、持続可能な農業の実現を目指しています。 今後約5カ月間にわたるプログラム期間中は、日本各地のさまざまな気象条件における実証実験と「EFポリマー」の新しい活用方法の検証、また普及拡大に向けて活動していく予定です。
株式会社エアロネクスト
プラン名
空を活用した新スマート物流
同社は2017年に設立された、国内では最多のドローン関連知財を保有するスタートアップ企業です。ドローン機体の重心制御技術「4D GRAVITY(R)」など、空を社会インフラとして活用するための技術開発を行い、社会課題の解決・地域活性化に取り組んでいます。
2020年には過疎・高齢化の課題を抱える山梨県北都留郡小菅村とドローン配送の実現および地域活性化に向けた連携協定を締結し、ドローン物流の常時運用、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流の社会実装を目指した実証実験を行っています。
プログラム期間中は(1)ドローンインフラ整備(2)ドローン利活用による住民への便利なサービス提供をパッケージとした「SkyHub(R)」構想における新しい配送サービスの提供(農産物の集出荷・ラストワンマイル配送など)(3)配送以外の用途での活用(リモートセンシングなど)による地域へのドローンの溶け込みの3点を目指して、さまざまな用途での活用の検討・実証実験に取り組む予定です。
株式会社事業革新パートナーズ
プラン名
植物由来バイオプラスチックHEMIX 農林水産業連携
同社は植物細胞壁に含まれる「ヘミセルロース」を原料としたバイオプラスチック樹脂材料/製品(商標名“HEMIX”)の開発・製造に世界で初めて成功しました。ヘミセルロースは生分解性、流動性など大きな可能性を持つものの、ほとんどが廃棄され有効活用されていません。この利用されていない国内資源を活用し、一次産業の高収益化を目指しています。
同社はJR東日本スタートアップ株式会社の「JR東日本スタートアッププログラム2020」に採択され、鉄道林の廃棄樹木から抽出したヘミセルロースを原料とした、100%植物由来の生分解性バイオプラスチックタンブラーを開発・販売する実証実験に取り組みました。
農業・林業・漁業における未利用資源(作物残渣・間伐材・甲羅・骨など)の活用を目指し、プログラム期間中は、バイオプラスチック製造サプライチェーンの構築および樹脂製品の企画・開発、またバイオ燃料への活用の検討などに取り組む予定です。