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経営企画部

全農の物流「2024問題」への取り組み

持続可能な「農業」と「食」の提供を支える物流体制構築へ

 全農は、持続可能な「農業」と「食」の提供のために、物流事業者・取引先と連携して物流の適正化・効率化に取り組んでいます。


国は物流改善を目的に 規制的措置導入へ

 国は、働き方改革関連法の施行により2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限を960時間に制限し、トラック運転手の労働環境改善を図っています。一方、物流の停滞が懸念される「2024年問題」に対応するため、昨年6月に公表した「物流革新に向けた政策パッケージ」を受けて、今年の5月には「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」を公布しました。(図1)

 改正物流関連法では、全ての荷主と物流事業者に物流効率化の取り組みを努力義務として課し、国が定めた判断基準に基づいて、指導・助言、調査・公表するとしています。また、一定規模以上の荷主と物流事業者を「特定事業者」に指定し、中長期計画の作成や定期報告などを義務付け、取り組みの実施状況が不十分な場合、勧告・命令を行うとしています。

図1:最近の物流に関する主な行政動向

 

 
JAグループの物流業務の適正化・効率化へ

 このような情勢の中、全農は年12月に「自主行動計画」(表1)を公表しました。物流事業者・取引先と協力し、物流業務の適正化・効率化に向けて、主に次のことに取り組みます。

 ●本会都合による長時間の荷待ちや荷役作業などが発生している拠点では、入出庫時間の分散やパレット活用などによるトラック運転手の拘束時間短縮

 ●長距離輸送では、モーダルシフトや幹線物流と地域配送の分離、集荷・配送拠点の集約などによるトラック運転手の拘束時間短縮

 ●共同配送などの取り組み促進による貨物積載率の向上

 ●物流事業者との契約内容の遵守(じゅんしゅ)、運賃改定などの要請に対して真摯(しんし)に協議

 今年1月には、全中と共同で「JAのための物流改善にかかる手引き」(図2)として、物流をめぐる情勢、物流事業者の主な現場課題、物流効率化に向けた取り組み事例などをまとめたパンフレットを作成・配布し、JAグループの物流改善に向けた理解醸成に取り組みました。

表1:自主行動計画(概要)

 

 
図2:JAのための物流改善にかかる手引き
 
パートナーとの共存共栄 物流品質向上・高度化へ

 これまで全農グループでは、「青果物輸送」では(1)中継拠点の整備などによる長距離輸送対応(2)複数JA・県域での共同輸送による積載率向上(3)段ボールサイズ変更によるパレット輸送対応、「米穀輸送」では(1)全農パレチゼーションシステムや全農統一フレコン導入による手荷役削減(2)JR貨物と連携した米専用貨物列車「全農号」による長距離輸送対応(3)全農の原料米と日清食品(株)のカップライス製品とのラウンド輸送による輸送効率向上、「肥料輸送」ではブロック単位での共通パレットを用いた手荷役削減などに取り組んできました。

 今後は、改正物流関連法の規制的措置に適切に対応しながら、パートナーである物流事業者や取引先とのさらなる連携強化により物流品質向上・高度化にチャレンジし、持続可能なJAグループのサプライチェーン構築に向けて取り組みます。また、国に対しては、物流効率化に向けた農業施設や輸送機器の整備支援、パレット導入や施設整備費などの負担が生産者に偏らないための支援を引き続き求めていきます。

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