ブランドヒストリー(12)
徳島県を代表する特産品「なると金時」 関係機関が協力し、ブランド力アップに向け活動を展開
きめ細かく美しい外見と上質な甘みを兼ね備えた、徳島県産ブランドサツマイモ「なると金時」。徳島県北東部の温暖で乾燥した瀬戸内式気候の中、水はけが良く通気性の良い砂地畑で大切に育てられています。徳島県のサツマイモ生産量は、全国5位です。
「なると金時」の沿革
「なると金時」の歴史は古く、主産地である鳴門市の海岸部では、明治前期には265haの栽培面積が確認されています。明治の初めに、鳴門市里浦出身の西上国蔵が、長崎県大村から来た船に荷積みされていたサツマイモ(源氏系統)の中から優良な系統を選び出しました。これが「撫養(むや)いも」と呼ばれ、関西で好評を得て産地としての名声が上がったといわれています。
鳴門地方のサツマイモは、それ以降、明治から昭和にかけて、塩害で作物ができなかった低湿地に、製塩業で燃料として使われていた石炭殻を敷き、その上に周辺の海岸部からの砂を客土としてできた砂地畑で栽培が広がりました。
昭和40年代には鳴門市を中心に近隣の徳島市、松茂町、北島町を含む2市2町で現在の約1000haの規模となりました。この2市2町の砂地畑で生産されたサツマイモが「なると金時」の名前で、関西をはじめ、関東・中国地方まで広く販売されています。
栽培と今後について
現在の栽培作型は、2月にハウス内で苗を定植し、育苗します。本ぽでは3月中に畝(うね)立てマルチ・土壌消毒を行い、4月上旬から6月中旬にかけて挿し苗をします。7月下旬から11月にかけて収穫作業が行われます。9月以降に定温貯蔵したものを、翌年5月末ごろまで出荷します。
2007年度に、鳴門市・徳島市・板野郡の砂地畑で生産される「高系14号」から選抜育種されたサツマイモを「なると金時」として地域団体商標を取得しました。ブランド品として位置付けることで、他産地との差別化を図り、付加価値を高めるとともに、生産意欲の高揚と品質の維持・向上を図っています。
徳島県のサツマイモは、JA・全農を通して市場流通される割合が高く、青果出荷の比率が高いことが特徴となっています。この特徴を生かし、県・JA・全農・徳島県甘藷消費拡大協議会は、「なると金時」のブランド力アップに向けて活動を展開しています。
今後も引き続き安全・安心な「なると金時」の生産と品質本位の出荷に取り組み、あわせて的確な生産出荷情報の発信、積極的な消費宣伝活動を展開し、販路拡大に努めていきます。