JA全農 令和3年度事業報告の概要
事業概況
令和3年度は新型コロナウイルス感染症の拡大や不透明感を増す国際情勢などにより、国内農業を取り巻く環境は一層厳しさを増す1年となりました。
このため、本会は「すべては組合員のために、そして消費者、国民のために」を基本姿勢とし、これまでの自己改革の取り組みを強化するとともに、(1)生産基盤の確立(2)食のトップブランドとしての地位の確立(3)元気な地域社会づくりへの支援(4)海外戦略の構築(5)JAへの支援強化の最重点事業施策について、グループ役職員が総力を挙げ、全力結集で取り組みました。
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(1)生産基盤の確立
○県JA・連合会・関連企業と連携し、県域を越えた労働力確保に向けた農作業受委託の労働力支援協議会の設置(全国6ブロック設置完了)
○新規就農者研修事業の継続実施や実証農場における効率的な生産技術の研修による次世代を担う農業者の育成(5県実施、新規就農12人、累計110人)
○米の集荷拡大・安定供給や青果物の選果・選別・調製作業の軽減に資するJA域を越えた広域集出荷施設の設置(米穀1か所、園芸3か所)
○農家手取り最大化に向けた肥料の銘柄集約・集中購買推進(11万2718t、前年比102%)
○大型に続く共同購入トラクター(中型)の普及拡大(新規1713台)
(2)食のトップブランドとしての地位の確立
○グループ会社と連携した実需者への共同営業による新たな販路拡大
〇国産農畜産物を原料とした「ニッポンエール」等、グループ会社・他企業等との一体的な商品開発(新規138品目、前年比200%)
〇青果物における実需者直接販売の強化(4044億円、前年比99%)や包装・加工・冷蔵機能などを具備する直販施設の設置(3か所)
〇国内最大の青果物卸売会社や大手青果物流通会社との資本・業務提携による、青果物の販路確保・安定流通の強化
〇消費者ニーズに応じた無菌包装米飯「農協ごはん」の取り扱い開始や産地直送通販サイト「JAタウン」を通じた国産農畜産物の販売促進
(3)元気な地域社会づくりへの支援
〇地産地消の拡大に向けた農産物直売所の集客力向上と売り場活性化に向けた人材育成など支援策の提案(新規44店舗、累計289店舗)
〇コンビニエンスストア等との業務提携によるJA生活店舗の業態転換などの生活店舗の対応力強化(新規1店舗、累計132店舗)
〇JAでんきの新規取り扱いJA拡大による、組合員向け営農・家庭向け電力事業の供給拡大(累計3万4742件)
〇再生可能エネルギーの普及・拡大に向けた「太陽光+蓄電池」などの新技術機器の導入(新規21台、前年比263%)
(4)海外戦略の構築
〇牛肉、米、青果物などの日本産農畜産物の輸出拡大(82億円、前年比140%)
〇海外需要に対応したマーケットインによる新たな輸出向け産地づくりや産地リレーの実施
〇海外山元との関係強化や輸入国の変更などの緊急調達による肥料原料の確保(リン安:25万5000t、前年比170%、尿素:19万1000t、前年比111%)
〇グループ会社の強固な集荷・輸送・販売の一貫サプライチェーンの強化による飼料原料の安定調達(アメリカ:ZGC1809万t、前年比87%、ブラジル:ALZ311万t、前年比115%、カナダ:GCC98万t、前年比68%)
(5)JAへの支援強化
〇JAの経営・業務分析等にもとづく「JA総合分析・事業活性化プログラム(全農JA支援プログラム)」による経済事業収支改善に向けた提案・実践(14県)
〇中央会・農林中金・信連等と連携した「営農経済事業の成長・効率化プログラム(見える化プログラム)」の導入支援(累計16県27JA)
〇生産者所得の向上に向けた「農家手取り最大化実践メニュー」の実施(累計159JA)
〇TACシステムの改善や研修体系の構築による、TAC活動のレベルアップと担い手対応力の強化

経営概況
取扱高は計画4兆5000億円に対して実績4兆4724億円と、計画比99%・前年比103%となりました。
事業別には、米穀事業や園芸事業でコロナ禍における単価安や販売数量の減少、営農・生産資材事業で建設事業の落ち込み等があったものの、畜産事業や生活関連事業で飼料原料・燃料の相場上昇等の増加影響を受け、全体取扱高は計画を若干下回るものの、前年実績を上回りました。