全農グループ会社探訪 全農物流 株式会社
輸送、倉庫保管、作業受託 JAグループの物流担う
全農物流(株)は「陸上輸送」「海上輸送」「倉庫保管」を柱に、JAグループの物流を担っています。全国70カ所の事業拠点と主要協力会社約600社と連携した全国ネットワークを構築し、全国各地で農家が生産した農畜産物を消費地へ、農業生産に必要な営農資材などを生産地や農家の元へ届けています。
全農物流は、第12回全国農協大会(1970年)の決議を受け、71年に物流業務の専門会社(旧(株)エーコープライン)として設立されました。75年にはくみあい飼料工場の再編で流通倉庫の増強を行うとともに、冷蔵倉庫事業へ進出。76年に海運会社の(株)エイコーラインと合併し、自社船による海運事業の取扱強化と、陸上・海上輸送を複合・連動する物流機能を拡充しました。さらに98年から2009年にかけて各県くみあい運輸と合併し、物流機能の強化発展に取り組みました。
そして07年12月に社名を「(株)エーコープライン」から「全農物流(株)」へ変更しました。
主な業務は「輸送」「倉庫保管」「作業受託」
取り扱う品目は、農家が生産した米穀をはじめ青果や生乳などの農畜産物や、農家が生産するために使う飼料や肥料・農薬などで、これらの輸送(トラック・鉄道・船舶)や、保管(普通・低温・冷蔵倉庫)などの事業を展開しています。
輸送では、青果物はコールドチェーンへの対応、生乳はコールドセンターの運営の受託や運搬にミルクタンク・ローリーを配備するなど、品目に合わせ品質管理を徹底しています。海上輸送では内航船による国内輸送と、東アジア・東南アジアから近海船による飼料や肥料などの外航輸送を行っています。
倉庫保管では自社倉庫14カ所の他、約100社の協力倉庫会社と連携し、米・麦・大豆を中心に約115万トン扱っています。神戸市には保管能力2万トンの冷蔵倉庫も所有し、保税業務や加工包装、小口トラック配送など、多様なサービスを提供しています。
また、JAや全農県本部から農家戸配送業務や作業を受託し、物流センターから農家まで肥料・農薬や飼料などを配送しています。近年では、タイヤやフォークリフト、プラスチックパレットなど物流関連資材の販売やレンタルも行っています。
関係機関と協力し物流課題に取り組む
物流業界が抱える課題として、慢性的なドライバー不足に加え、ドライバーの時間外労働に罰則付きの上限規制が適用される「2024年問題」への対応が挙げられます。特に、手荷役や長時間待機などドライバーの負担が多い農産物輸送は、「運べない(運べなくなる)リスク」が高いと言われています。米輸送では手荷役のない物流を目指し、全農米穀部と連携した「全農統一フレコンの導入」や「紙袋輸送時のパレット化」を開始しています。他品目でもトラック輸送から船舶、鉄道などに切り替えるモーダルシフトや中継輸送、IT導入などの取り組みを進めています。
また、埼玉県久喜市に同社では関東初の冷凍・冷蔵倉庫の建設に着工しました。常温保管や米穀などを低温保管する低温機能に加えて冷凍・冷蔵機能を有し、多様化するお客さまのニーズに柔軟に対応します。
この他、本年1月に開設された全農の東海・近畿広域部品センターの受発注、在庫管理、配送などの業務を担う「東海近畿農機部品事業所」を新たな事業拠点として設置しました。今夏には、福岡県筑後市の全農パールライス(株)福岡工場隣接地に新たな低温倉庫を竣工します。
農業物流の専門家として頼れる存在に
代表取締役社長 寺田 純一氏
JAグループの物流会社として、販売物や営農資材をきちんと届けることが我々の仕事です。天候にも左右される農畜産物の輸送に対応するため、コールドチェーンや倉庫を整備し、スムーズな物流に取り組んでいます。農業物流は産地側、受け手側の要望もさまざまで多岐にわたります。多様な流通を担ってきたからこそ得たノウハウを生かし、農業物流の専門家として関係機関と協力し高品質で合理的な物流サービスの提供を目指していきます。
生産者と消費者の懸け橋となり、確実に運ぶ使命を果たすためにも、物流諸課題の解決に取り組みます。そして、ビジョンに掲げる「日本の『食』を支え、農業物流のトップランナーになります」を実現します。
会社の概要 (2021年12月1日現在)
本社所在地●東京都千代田区神田錦町三丁目13番地7
事業内容●陸上輸送事業、海上輸送事業、倉庫事業、タイヤ・フォークリフト等の販売事業
設立年月●1971年3月10日
代表者●寺田 純一
従業員数●1284人(臨時・パート・出向受入等含む)
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