プロフェッショナルを追う(3)産地振興を販売で支えるプロフェッショナル JA全農青果センター株式会社 熱田 智紘さん
青果販売を担う立場から日本の農業に貢献したい
全農グループには専門的な業務に従事している職員がいます。今回は、JAグループの青果物販売を担うJA全農青果センターの熱田智紘さんに迫ります。
――これまでのキャリアについて教えてください。
島根県出身で県外の大学を卒業後、2011年に入社しました。以来、東京センター(埼玉県戸田市)青果部野菜第1課一筋です。入社当時はゴーヤを担当しました。ピーマンやキュウリなどいろいろな品目を経験し、現在は大玉トマトを中心とした果菜類全般のチーフを任されています。
――仕事をする上で大事にしていることはありますか?
私の実家は農家です。そのような背景もあり、現在多くの課題を抱える日本の農業に貢献したいとの思いでこの仕事をしています。そのために販売を担う立場でできることは、生産物を短期間で変動する需給環境に合わせ、よりスムーズに売ることです。「来たものを売る」仕事ではなく、販売先のニーズをくみ取り、売れる商品を産地とともに開発すること、それを責任もって提案・販売し、約束通りお届けすることで、産地と販売先の両方に満足してもらうのが私の仕事です。その繰り返しが信頼のベースだと思います。
例えば東京を中心に展開する大手スーパーには、JAびらとり(北海道)の桃太郎系トマトを販売しています。日々の情報に価値を持たせ、シーズンが終わると産地・バイヤー双方と振り返りを行い、翌年の約束を交わします。おかげさまで信頼をいただき、大きなシェアを任せていただいています。大手スーパーからも毎年安定した産地指定をいただいています。
――熱田さんが産地の目となり耳となっているのですね。
最も消費の現場に近い立場だからこそ、ニーズや売れ筋の変化などに敏感でいられます。昨年はコロナで大変な中、内食需要が伸び、生協・量販店からの受注が2割ほど増加したため、産地にも無理して出荷していただきました。今年は価格的に苦しい状況ですが、長期的な視点で希望を持っていただけるよう、産地によい提案をしていきたいです。
販売先が明確であれば、農家は経営に対する安心感が生まれ、モチベーションにもつながります。きちんともうかれば後継者も出てきます。これからも「産地振興を販売で支えているんだ」というプロ意識を持って仕事に取り組みたいと思います。