ＪＡ出資型法人を設立　自ら「担い手」人材育成

　JAやさとは茨城県のほぼ中央に位置し、都心から約70㌔にあり田園風景と豊かな自然が魅力の農村地帯です。

やさと菜苑㈱拠点に営農、研修受け入れ

　JAやさと管内は、以前から耕作放棄地の増加と担い手の高齢化、後継者の不足などが問題でした。JAが地域のために何ができるか真剣に議論し、リスクはありますがJA自身が担い手となり、また新規就農者の受け皿となって地域農業を支えていくことを決断し、平成24年8月に「農業生産法人 やさと菜苑株式会社」を設立しました。

　設立当初は農地整備の遅れなどもあり、栽培可能な面積は約2㌶でしたが、平成29年には約15㌶の農地を保有し、露地で長ネギ（周年栽培）・キャベツ・ショウガを栽培しています。平成28年には新たに0・6㌶ のハウスを建設し、葉物野菜の栽培を始めました。

8人が農業者として独立　野菜に加え水稲などでも

　やさと菜苑株式会社の設立に当り、①元気な農業担い手を育てる②地域農業の活性化（遊休農地・耕作放棄地の減少）③健康と環境を守る農業を実践④農業経営の健全化を目指すという四つの経営方針を立てました。

　この方針に基づき会社設立当初から、新規就農者や農家後継者を担い手として育成するために研修制度を設けました。社員として約2年間、需要に応じた計画的な野菜づくりを行い、品質・生産性の向上を図れる力量ある生産者を育成します。これまで、やさと菜苑は15人を受け入れ、うち8人は既にJA管内で農業者として独立し就農しています。残りの7人は社員として研修中です。

　今後は、より多くの新規就農者や農家後継者を育成するために、露地・ハウスだけでなく、野菜のほか水稲など多くの農産物を作付けし、作業の習得と実践を通じて人づくりに努めます。1人でもたくさんの就農希望者を受け入れ、やさと地域内の農業支援と活性化を目指していきたいと考えています。

JAやさと（茨城県）

概要	平成30年1月31日現在
正組合員数	3914人
准組合員数	1089人
職員数	135人
販売品取扱高	35億9千万円
購買品取扱高	29億6千万円
貯金残高	487億円
長期共済保有高	1327億8千万円
主な農産物	水稲、鶏卵、ナシ、有機野菜