【AgVenture Lab発 スタートアップ インタビュー】手押し車を電動化する「E─Cat kit」を製造開発 株式会社CuboRex 寺嶋瑞仁代表
株式会社CuboRex(キューボレックス)は、既存の猫車(手押し車)を電動化するキット「E-Cat kit(イーキャットキット)」を2020年10月からJAありだを介して、主に和歌山県内で販売をしています。今年2月時点で販売台数を和歌山県内で100台を達成しました。3月以降は全国からの注文にも対応可能です。
使用されたお客さまからどのような反響がありましたか。
全員がおっしゃるのは「運搬作業が楽になった」という事ですね。数値化は難しいですが、キューボレックスでは、運搬業務に関わる労力は約半分以下、運搬に関わる作業時間は2/3程度と言っています。
御社が和歌山に営業所を出してまで発売し始めたときの、きっかけとなった生産者の方のお話をお聞かせください。
実は私が和歌山県有田地域の出身で、最初は年齢に関係なく営業をしていたのですが、実態として一部の例外を除いて購入意思決定をしてくれたのが若い方ばかりでした。僕から見て和歌山は若手が多い地域なんだなと思いました。新規就農者も一定数いますし、後継者の方も多いですね。
年代的に50~60代の方も最近は興味を示していただいているという実感はありますか。
とてもありますし、そのために重要なピースが一つありました。それはJAの協力です。農家さんが農業機械を買う時、真っ先に考えることは、価格・性能は当然のことながら、皆さんメンテナンスなんです。今回、地元のJAさんにメンテナンス部分を担っていただいています。
御社のようなベンチャー企業と一緒に取り組む上で、JAに持ってもらいたいマインドなどはありますか。
JAさんとのやりとりを含めて思ったことは、「やってみる」という精神は持ってほしい。JAさんは組合員さんに対して安心安全に利用できる農業機械を求めますし、それは当然なのですが、多少未完成でも一緒になって育ててほしい。
御社のFacebookを見ると、利用者がイーキャットキットを自分好みに改良したことを報告していて、参加型のプロダクトになっているというのが素晴らしいなと思います。
それはうちのプロダクト全部の特徴です。そこを取り上げてくれるのは開発者としてはすごくうれしいです。購入者・利用者の皆さんは、僕たちからすると開発仲間です。ユーザーが自分の使用環境にあわせて工夫したところが出てきて、それを一緒に共有してもらう。メーカーである僕たちが学び取って基幹となる製品にフィードバックしています。私たちはSNSを使いながらものづくりをするのが当たり前の世代です。
今後の展望をお聞かせください。
「不整地で使えるガチなレゴ」として柑橘(かんきつ)の分野だけでなく、農林業、畜産業などの分野に「イーキャットキット」を普及していきたいです。今回は猫車でしたがこのシステムは不整地で活躍する車輪関連全般に実装できるシステムです。足場の悪い環境の農場や雪国の方たち向けに製品はこれからもっともっと進化する予定です。
株式会社CuboRex
雪国や農地などの悪路環境で使用可能な乗り物や運搬器具を製造開発。主な製品はクローラ動力ユニット「CuGo」、手押し一輪車の電動化キット「E-Cat kit」など。
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