鳥獣害対策の一つとして葉ニンニク生産拡大
秦野市は神奈川県西部に位置し、豊かな自然と温暖な気候を生かして、米や青果物、花きが栽培されています。近年は都市化が進み生産者の高齢化や経営環境の変化が進む中、JAはだのでは、地域農業の活性化を図るため、第三次地域農業振興計画を策定し「都市農業の確立」に向けた取り組みを実行しています。同計画の一環として次世代に有望な野菜や果樹など8品目を「振興作物」に位置付け、重点的な生産振興を図っていますが、中でも力を入れているのが「葉ニンニク」です。
野生鳥獣食害ほぼなし生産者に栽培管理指導
市内で栽培されているのは「ハーリック」という葉や茎の部分を食べる品種。ニラよりも肉厚で香りが高く、まろやかな味わいで炒め物や鍋物など幅広い料理に活用できるのが特長です。
JAでは深刻化する鳥獣被害対策の一つとして2015年、忌避作物である「葉ニンニク」の生産拡大に着手しました。食害を避けられるだけでなく通常のニンニクと異なり栽培期間が2~3カ月と短いことに加え、乾燥作業を必要としないことなども、生産者にとって好都合だといいます。JAは被害が深刻な山間部の生産者を中心に種を配布し、栽培指導に取り組んだ結果、生産者は年々増加し、現在は13戸が7.9aで育てており、今シーズンは昨年11月から今年3月までに約4000束を出荷する見込みです。
試食販売やオリジナル袋で認知度向上を目指す
生産量も順調に増え、多彩に調理できて食材としても魅力的な葉ニンニクですが、消費者の認知度では劣る点が課題となっています。消費者においしさを知ってもらおうと、生産者自らが百貨店で試食販売を行ったり、地元の業者が葉ニンニクを使ったギョーザを商品化したりするなど、地域一丸となってPR活動に取り組んでいます。
また昨年12月には、これまでの種子メーカーの袋を一新し、他JAや神奈川県本部と連携してオリジナルの包装資材を作成しました。袋には「神奈川県産葉にんにく」と県産をPRしている他、葉ニンニクになじみの薄い消費者でも手にとりやすいようJAが考案したレシピも記載しています。今年はコロナ禍で試食販売ができない分、新しい資材で認知度向上を図ります。
JAは今後も生産者とともに葉ニンニクの生産拡大と認知度向上に努め、市を代表する特産品としての普及を目指していきます。
概要 | 令和2年2月末現在 |
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正組合員数 | 2837人 |
准組合員数 | 1万1653人 |
職員数 | 214人 |
販売品取扱高 | 19億1千万円 |
購買品取扱高 | 33億4千万円 |
貯金残高 | 2254億2千万円 |
長期共済保有高 | 4322億7千万円 |
主な農産物 | ラッカセイ、カーネーション、小菊、トマト、キュウリ、イチゴ |