JAアクセラレータープログラム第2期 成果発表会を開催
スタートアップ企業8社が成果発表
AgVenture Labは11月12日、「JAアクセラレータープログラム(第2期)」の最終成果発表会(デモデイ)を開きました。
第2期のプログラムは163件の応募の中から採択された、食・農・くらしの領域に関わるスタートアップ企業8社を支援する取り組みで、農林中金と全農職員が伴走者として採択企業に寄り添い、JAグループとの協業を推進。5月のスタート以来、コロナ禍の中での半年間という限られた活動・期間での成果を発表しました。
㈱シェアグリは「特定技能人材のスポット派遣で労働力不足を解消」のテーマで、農繁期の必要な時期に必要な労働力を派遣することで労働力不足の解消を目指しています。プログラム期間中には全国16のJA組織の紹介により、複数県で派遣先が決定し業績を成長させることができました。
㈱トルビズオンは「ドローン航行のための上空シェアサービス『sora:share』」のテーマで、ドローン物流の実現に備えて農地上空の使用権をビジネス化することで農家の権利保護と農地保全を同時に図ることを目指しています。プログラム期間中には佐賀県多久市で、中山間地における実証実験を成功させました。
AGRIST㈱(アグリスト)は「農業の人手不足をAIと収穫ロボットで解決」をテーマに、国際特許申請中のつり下げ式収穫ロボットで、生産現場において集中的な作業である収穫の自動化を目指しています。現在はピーマンをターゲットにし、地元の宮崎県だけではなく、ピーマンの主要産地の大半と接点を持つことができました。またJA三井リース(株)との連携で、初期導入費用を割賦払いにすることも可能(予定)にすることができました。
テラスマイル㈱は「スマート農業を見える化し新たな農業経営スタイルを全国に普及」のテーマで、自社で開発したRight ARM(ライトアーム)でさまざまなデータの分析、営農課題の特定、オペレーションの改善による生産者の所得向上を目指しています。営農管理システムZ-GISとの連携など、データ活用型営農指導の普及とRight ARMの導入推進に向けてJAグループとの協業が決定しています。
㈱グリーンエースは「粉末化技術で野菜不足とフードロスを解決」のテーマで、5年間の研究開発を基に実現した、色や香り、栄養成分を保持したまま野菜を粉砕できる技術により、生産現場や加工現場で発生する食品ロスを解消することに加え、消費者の食生活の向上を目指しています。11月には野菜不足解消サービスVegemin(ベジミン)を立ち上げ、テスト販売を始めています。また来年にはニッポンエールへの活用を予定しています。
㈱CuboRex(キューボレックス)は「手押し車の電動化キットで中山間地農業の作業負荷を軽減」のテーマで、自社で開発し、安価に取り付けることができる補助動力「E-cat kit」により、農作業の軽労化に貢献することを目指しています。
プログラム期間中の10月から和歌山県のJAありだで取り扱いが始まり、果樹農家を中心に好評です。今後、全国展開に向けて取り組んでいく予定です。
myProduct㈱(マイプロダクト)は「地域の体験型観光プランを企画開発し、簡単予約!」のテーマで、地域の魅力を体験型の産業観光で発信するデジタルプラットフォームを開発・運営し、地方と都市との新しい接点を創(つく)ることを目指しています。日本の農業を誇れる観光資源として、魅力の発掘と発信に取り組み、来年の春には㈱農協観光と栃木県大田原市でのテスト導入を実現していきます。
㈱Agrihub(アグリハブ)は「エンジニア農家発!栽培管理アプリから始まる農業DX」のテーマで、栽培日誌や農薬履歴の管理アプリを開発し、農薬帳票の電子化、生産履歴の蓄積から流通関係者の業務負担の大幅な軽減を目指しています。プログラム期間中には栃木県のJAうつのみやで実証実験を行い、今後複数のJAと実用化に向けて協議を進めています。また営農管理システムZ-GISへのサービス提供も開始しました。
最後に山﨑周二理事長が「8社いずれも現在日本農業が抱える課題に対して的確かつ未来志向で解決を図っていこうという事業だ」と評価し、その上で1社ごとに今後への期待をコメントしました。また、伴走者に対しても「半年間スタートアップと共に汗をかいた経験はこれから広い視野で新たなビジネスを創造することに役立つ」とねぎらい、全体講評を締めくくりました。
AgVenture Labは、次年度の第3期の実施に向けて現在準備中です。
JA全農の伴走者の声
東京畜産生産事業所
CuboRexの伴走者 梶 翔太さん
耕種資材部総合課
AGRISTの伴走者 熊坂 理沙さん