徹底した栽培管理で「飛馬ブランド」確立
青森県弘前市にあるJA相馬村は、組合員の8割強がリンゴ生産者で、全国でも類を見ないリンゴに特化したJAです。農地は平地から山間部まで広がり、岩木山や白神山地からの恩恵を受けて栽培しています。
JAと生産者が生んだ「飛馬ふじ」
1人の生産者が、強風の影響で「サンふじ」の収穫が大幅にずれ込み、11月末に収穫したところ「とてもおいしく、糖度が17度もあった」という出来事がありました。それがヒントとなり、葉摘みの作業時期に注目し、時期を限定することでぎりぎりまで果実に養分を与える栽培法を目指すことを考えました。品種は消費者に認知度が一番高い「サンふじ」に的を絞り、「見た目も味も良い究極のサンふじ」を目指すことになりました。これが「飛馬ふじ」の始まりです。
平成18年から3年間試験が行われ、土壌診断による施肥や6月末までの摘果など、糖度14度以上を目指した栽培基準を作りました。当初、「主要な作業期間が制限される」などの理由から生産者17人のスタートとなりました。絶対に成功させる思いで、JA担当者による個別巡回や土壌診断経費の全額補助など、産地の維持に全力で努めました。販売面では、ディスカウント流行のさなか、「高くてもいいものは売れる」と流行の逆を進むことになりましたが、試食の効果から「想像を超える味の濃さ」で消費者の反応を一変させることができました。
「飛馬ブランド」の確立で会員数、入庫数量とも大幅増
販売価格は平成22年から常に1箱(約18kg)平均5000円以上をキープし、通常栽培の「サンふじ」と比べ1000〜2000円の差で、明確な差別化を図っています。固定価格での取引で相場に左右されないことが強みとなり、手間を掛けた分精算にしっかり反映されることが会員への大きなメリットとなっています。会員数と入庫数量は年々増加し、平成28年には会員数が当初の3.5倍の60人、入庫数量が8.4倍の350tにまで増加しました。
今後は適期作業をもう一度原点に戻り見直し、「どれを食べても味にバラツキのないリンゴを提供する」という最大の目標に近づけたいと考えています。「攻めの姿勢」で生産から流通・販売まで結び付けた取り組みを展開していきます。
概要 | 令和2年6月30日現在 |
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正組合員数 | 498人 |
准組合員数 | 368人 |
職員数 | 39人 |
販売品取扱高 | 40億3千万円 |
購買品取扱高 | 13億6千万円 |
貯金残高 | 93億9千万円 |
長期共済保有高 | 330億円 |
主な農産物 | リンゴ |